新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」2019年度中国大学生訪日団第1陣

 2019年5月19日から5月26日までの8日間、2019年度中国大学生訪日団第1陣(団長:程 海波 中国日本友好協会 副秘書長)計150名が来日した。本団は北京市・吉林省・重慶市・山西省の大学生・大学院生・引率で構成され、外務省が実施する「日中植林・植樹国際連帯事業」の一環として招聘した。

 訪日団は、東京・徳島・石川にて、環境・防災に関するセミナーや関連施設の視察・ブリーフを通じ、日本への多面的な理解を深めた。また、大学への訪問、植樹活動、ホームステイ等のプログラムを通じ、同世代の大学生や一般市民との交流・親睦を深めた。

 

日本の防災・減災、環境保護の取り組みを学ぶ

 訪日団は、一般社団法人グリーンインフラ総研代表理事の木田幸男氏より「グリーンインフラと環境・防災」というテーマで講義を受け、防災、まちづくり、雨水活用など、大きな可能性をもった都市基盤として発展していくグリーンインフラの概念と、欧米での取り組み、技術やメリット、日本での実用例について学んだ。また、このセミナーテーマに関連し、東京都内で緑地整備や屋上緑化などグリーンインフラを活用し自然と共生するまちづくりを実践しているThink Park Forest、東京ミッドタウン・ガーデンを散策した。

 そのほか分団ごとに、東京の芝浦水再生センターでは循環型都市づくりに貢献する再生水利用を、金沢市西部環境エネルギーセンターではごみ焼却で発生する熱を利用した廃棄物発電など再生可能エネルギーの活用について理解を深めた。しながわ防災体験館、東京都北区防災センターの視察では、災害の模擬体験を行い、災害の恐ろしさを実感した。

 

東京・徳島・石川で大学訪問・交流やホームステイ

 第1分団(北京市、吉林省)は中央大学を訪問。環境、社会、ガバナンスに関する講義を受けたのち、日中学生がそれぞれのテーマに沿って英語でプレゼンテーションを行った。徳島では徳島大学を訪問。四川大地震を例に、防災取り組みから見た日中交流の重要性について講義を受けたのち、学生有志の案内でキャンパスを散策したほか、阿波おどり会館で一緒に阿波おどりを踊るなどして交流を深めた。

 第2分団(重慶市、山西省)は工学院大学を訪問。水処理の先端技術について講義を受けたほか、各研究室で学生の研究活動の発表を聞いてディスカッションを行い、同世代間の親睦を深めた。石川では金沢大学を訪問、国際的に活躍できる環境技術者の育成を目的とするコースやさまざまな研究活動の紹介を受けたほか、学生からポスター発表を聞き、自然に囲まれたキャンパスを散策した。どちらも充実した研究施設と、日本の大学生の優れた研究実践能力に深く感銘を受けたようだった。

 このほか、第1分団は徳島県美馬市、第2分団は石川県鳳珠郡能登町でホームステイを実施した。団員は地域の木材を使った写真立て作りや流しそうめん体験、輪島塗のお膳を使った夕食準備の手伝い、囲炉裏での食事等、各家庭で日常の学生生活では味わえない貴重な体験をしながら、ホストファミリーと交流した。

 また、第1分団は徳島県美馬市より「吉野川の洪水と人々の暮らし」というテーマでブリーフを受け、吉野川に複数ある中洲の成り立ち、洪水対策から発展した独特の景観や藍栽培の歴史について学んだほか、ソメイヨシノ15本を植樹した。第2分団は能登町の山中に訪日団全員でアカマツ60本を植樹し、地域の里山保全活動に貢献し、一人一人が環境保護について考えることができた。

 

 団員からは、「日本の大学生は熱意を持って実践的な研究に取り組み、日々研鑽を積んでいる。帰国したら自身も研究に打ち込みたい」「植樹活動の楽しさを味わえた。私たちが植えた桜は、現地の人々に美しい景色をもたらすだろう」「日本人の環境保護・防災に対する自制心と共助意識を体感し、今回の活動を通じ自らの環境保護意識が高まった」「一緒に夕食を作ることでホストファミリーとの距離が縮まり、中日両国の違いについて話しお互いに学ぶところがあると感じた」などさまざまな感想が聞かれた。

 本プログラムを通じて、団員一人一人の防災、環境保護に対する意識が向上するとともに、団員が日中友好の架け橋になることを期待したい。

日程表 参加者の感想