第9回日中友好岸関子賞 受賞者の感想

新型コロナウイルス蔓延防止の観点から、第9回授賞式を中止としたことを受け、受賞者の3名より受賞の感想をお預かりしましたので、ここに掲載いたします。

 3名の皆さま、このたびはおめでとうございます。今後とも研鑽をつまれ、優れた研究成果を挙げられますよう、そしてこれからの留学生活がいっそう実り多いものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 公益財団法人日中友好会館 日中友好岸関子賞事務局

【受賞者の感想】①

優秀賞

 権力 一橋大学大学院社会学研究科

「アジア太平洋戦争期朝鮮総督府における満洲移民宣伝活動」

 

権力さん

 

  この度は受賞させていただき、誠にありがとうございます。私は2016年来日し、2018年4月に一橋大学社会学研究科修士課程に入学しました。学部の専門は政治学科ので、現在勉強している東アジア近代史と大きな差異があります。歴史の研究方法、史料を読み方、分析視角などの基礎知識を勉強しなから、自分の研究を進みました。日本、中国、韓国の範囲として試みていますが、資料の収集と整理、読み込みと取捨選択、概念の整理や論理的に思考を展開する技術など、覚えることも多く、またこれを外国語で行うことからとても大変ですが、わからない時でも諦めるのではなく、調べたり、勉強したりすれば、何もできるようになるはずとの想いを持って、困難があっても、諦めずに努力して乗り越えられるように頑張ろうと、研究に向き合っています。

 今後は東アジア地域の朝鮮人人口流動と中国朝鮮族のアイデンティティーの形成を博士段階の研究活動の目的として、将来的には自身の身につけた知識をもって後学を養成し、この研究分野を活発に発展させていきたいと思います。また、現代社会が持っている問題を、本研究成果を通して問い直し、解決方法を模索することが期待されます。具体的な例として、本研究で扱う移民問題を現代日本に適用させ、平等な生活から離れた人々、そして、多くの人々が共に暮らすことができる社会を作るための方法として参考とし、このことにより社会に貢献・寄与できると考えます。

 本論文は、中国、韓国そして歴史的事実を当時の移民政策に基づいて、日中韓関係を文化や歴史的に正しく考察しました。そして、当時の移民政策と移民過程を分析し、さらに移民の実生活を分析する。研究結果は今日のグローバル社会における移民受容のあり方の引き起こした問題を解決する糸口となる研究を行いたいと思います。東アジアの歴史を正しく認識、理解し、研究結果を日中韓の人々に伝えて、国々間の相互理解を増進します。私は、このように研究成果を社会へ還元できる研究者になることを目標として絶えず努力しています。そして、私は、日本、中国、韓国の言語を駆使しながら研究活動を行い、東アジアの人口流動と民族アイデンティティーに焦点を置いて、東アジア各国の架け橋のような研究者を目指します。

【受賞者の感想】②

奨励賞

 孫静怡 東京工業大学大学院環境・社会理工学院

   「戴季陶の日本認識―その早期留学経歴を手掛かりに」

 

孫静怡さん

 

 この度は「第 9 回日中友好岸関子賞 奨励賞」いただけましたこと、大変光栄に存じます。

 本論文は中国民国時代における国民党の知日家―戴季陶の日本認識、特に早期の留学経歴により日本認識の変化に着目しました。具体的には、戴の『日本論』から展開して、戴の日本認識における民族信仰の位置づけを明らかにしました。さらに戴の思想にある民族信仰発想と日本留学経歴の関連性について解説し、『日本論』などのテキストに基づき、民族信仰の真実性、美を愛する心、外来文化を積極的に勉強するという三つの角度から展開し、戴の日本認識における民族信仰意識を分析しました。

  研究対象に関連する資料はおおよそ100 年前のものであり、追跡することに苦労しました。100 年という長い間が経ち、戦争並びに自然災害などにより、残された史料はかなり少ないものでした。そのため、本来予定した研究方法に代わり、自伝小説などで現れた友人に関連する史料を補足し、他にも中国・広東省の孫中山記念堂や台湾の国立国父記念館に訪問し、関連する資料を探しました。

 また、論文作成中は、ちょうどコロナウイルスで世の中が多いに乱れる時期でした。ほとんどの図書館が閉館となり、関連文献及び関連資料を再度確認することが難しかったです。 研究の肝心となる戴季陶は国民党が中国大陸を執政した時期に対日政策において、大きな役割を果たした者です。戴季陶の日本留学経歴及び留学中の出来事はこれまであまり注目されてこなかったのですが、近代で知日家として名を挙げた戴季陶の日本認識の形成を解明したことにより、今後日中関係の研究において、多少なりともいみがあるのではないかと思っております。 また、本研究は、私の研究活動において出発点となるものでもあります。そして、コロナ禍において通常の形態で研究が行えなくなった現在、このような形で評価していただけたことは、駆け出しの私にとっては、とても励みになる出来事でもあります。

 最後になりますが、この度の受賞は、指導教員である劉岸偉先生の厳しくも親身な指導なしには決して得られるものではなかったと思います。そして、審査員の先生方、並びに論文をお読みになるみなさまに改めて感謝申し上げます。ここに記して感謝の意を申し上げます。

 

 

【受賞者の感想】③

奨励賞

 彭暁雅 一橋大学大学院法学研究科

    「日中両国の対中ODA認識に関する研究」

彭暁雅さん

 今の度「日中友好岸関子賞」の奨励賞をいただいて、誠にありがとうございます。委員会の各々の先生たちに感謝の意を申し上げます。拙い文章で賞を頂くのは恐縮ですが、それを励みにして、博士論文の研究をさらに工夫して、学界にも日中関係にも貢献できるように頑張りたいと存じます。

 まだ若い頃に日本の文学に接して、日本の独特な文化を知り始め、その後も日本と中国の間で政治関係だけにとどまらず、民間まで緊密ながら複雑、時に緊張な関係に興味を持つようになりました。大学に入った後は日中関係を自分の研究領域として選択し、学士論文と修士論文を作成しました。対中ODAは言うまでもなく日中関係の中で非常に特殊な問題です。もともと日中友好のために行われたこのプロジェクトは、なぜその後日中争論、国民感情悪化の焦点になってしまったのでしょうか。70年代と80年代の友好関係はなぜ真の和解に導き出せなかったのでしょうか。この問題意識を抱いて、外務省外交史料館で1972年の日中国交正常化から1980年代までの日本政府と中国政府の会議や訪問の資料を丹念に探していきました。膨大な歴史史料を全部読んで整理するのはかなり時間をかけましたが、自分の仮説を支持しそうな論拠を見つけたときの喜びは込み上げて研究のインセンティブとなり、研究の継続を支えてきました。

 修士論文はこの疑問を完全に解いたことができないと思って、今は博士課程で日中関係の悪化の中の国民と政府の相互作用について研究を進んでいます。従来の政府レベルと国民レベルで日中の間の問題と認識のずれなどが言及されましたが、この二つのアクターの間で相互影響しているかどうか、あればどういう仕組みで相互影響していきましたかはほぼ空白となります。この研究を通じて、国際政治学から見た日中関係の研究の補足となるように寄与していますほか、日中の相互理解と制度構築に少しでも役に立てば幸いと思います。どれだけ親密な国々の間でも、問題は発生し、そして必ず発生し続けますが、最低限のコンセンサスと相互信頼があれば、新しい問題を綺麗に解決する制度や人の知恵が機能すると信じています。日中の間でこういう制度を生み出す可能性をできるだけ探究したいと存じます。

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