新時代を担う日中友好の架け橋に

人生の楽しさを発見しよう

隆亜武

  2019年9月、留学への憧れと憧れを持って来日しました。新型コロナウイルスの流行が世界を襲い、誰しもが危機に瀕していた12月、後楽寮の居室で研究をすることが当たり前になりました。

 

 この新型コロナウイルスの影響があっても、私が当初夢見ていた生活が半年も経たないうちに叶いました。夢と現実の間の微妙な気持ちが、現在の私の留学生活です。

 

 来日する前に、私は既に後楽寮に住むと決めていました。風光明媚な小石川後楽園の近くに建つ後楽寮は、交通の便もよく、銀座、新宿、池袋などの繁華街まで電車で30分もかかりません。当時は、銀座、新宿、池袋などの大都市が、自分の家の前にあるという感覚をもっていました。後楽寮から簡単に行ける距離にあり、これらの場所で買い物をしたり、日本の習慣を体験したりすることができると思っていました。普通の日本人学生と同じようにアルバイトをして、仕事や勉強の苦労を学ぶこともできます。

 

 9月上旬に日本に到着したときは、いろいろな書類の処理や日用品の購入で忙しく、まるで荒野に一人で投げ出された旅人のようで、すべてのことを一人で開拓していました。11月頃からゆっくりと周囲の環境に慣れ、のんびり地図を広げて探索し始め、毎日、週末はどこに行こうか、どこの名所(聖地)を訪ねようか、と計画できるようになりました。

 

 留学期間中、幸運にも学校主催の富士山旅行に参加できました。アニメで見た美しい世界の中に自分がいるような感覚でした。新型コロナウイルスの猛威が世界を襲っても、美しい風景は常にそこにあります。居室で研究をしていても、人間の生活は基本的には変わりません。潤いのない生活にあっても自分の楽しみをたくさん見つけて、一人で抵抗するのです。留学も言い換えれば、他の国に行って隔離生活をすることと同じです。この生活に慣れれば、道端の花や植物からも人生の楽しさを発見することができるのです。

 

(東京大学大学院工学系研究科 精密工学専攻)