「JENESYS2.0」2016年度中国社会科学院青年研究者代表団第2陣

 2017年1月15日から1月22日までの8日間、2016年度中国社会科学院青年研究者代表団第2陣(団長=楊伯江 中国社会科学院日本研究所・副所長)が来日した。本団は中国社会科学院の各研究所に所属する青年研究者で構成された計23名で、外務省が実施する「JENESYS2.0」の一環として招聘した。

 代表団は東京、徳島を訪問し、「高齢化問題」をテーマに、行政関係者や研究機関・シンクタンク等の研究者、及びNPO関係者と交流したほか、関連施設や企業、地方都市の視察を行い、さまざまな角度・視点から、日本の現状や対応策、課題、今後の展開に関する考え方について理解を深めた。また、日本の先端技術、環境保護に関する視察や、郷土の自然、歴史、伝統文化にも触れ、包括的な対日理解を深めた。

 

超高齢化社会に向き合う各分野の専門家、関係者と交流

 代表団は、みずほ総合研究所株式会社より、少子高齢化に直面した日本の活性化策として日本政府が推進する「ニッポン一億総活躍プラン」の背景、施策の概要、効果、働き方改革等の政策課題についてブリーフを受けた。国立社会保障・人口問題研究所では、日中双方の研究発表、意見交換を行った。日本側は、年齢階層人口や出生率、平均寿命ほかさまざまな統計・推移から見る日本の少子高齢化について、また社会保障制度の概要や課題、医療・福祉分野の展開等について発表、中国側は人口統計専門の団員が、中国の高齢化の特徴と高齢者介護サービスのニーズについて発表した。そのほか人とロボットの共生による自立支援、生活の質向上を目的とした福祉・介護ロボットの普及促進に力を注いでいる大和ハウス工業株式会社を訪問、高齢者や障害者が普通に暮らせる社会を目指すロボット事業の理念や社会的役割を学び、介護福祉機器展示場で実際の介護ロボットにも触れた。

 地方は、少子高齢化・人口減少が最も深刻な県の一つである徳島県を訪問した。2035年には県民の約4割が65歳以上になる予測の徳島県では、介護福祉施設の積極的な整備はもちろん、高齢者にも地域の担い手として活躍してもらえるような生きがい作り、社会参加の促進、健康増進、介護予防等、さまざまな対策に取り組んでいる。徳島県庁によるブリーフでは、それら長年継続している取り組みや、女性の社会進出・子育て支援等について紹介を受けた。

 また県の高齢化対策の一翼を担い、介護福祉・保育・人材育成事業に積極的に取り組む健祥会グループの特別養護老人ホームとケアハウスを視察した。介護の現場に携わる職員から直接話を聞いたほか、デイサービスや居住エリアで利用者とも交流した。同グループが推進する経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護人材の受け入れ・育成についても理解を深め、同グループの施設で働く外国人介護福祉士とも交流した。その他、県内で過疎化が最も深刻な地域の一つ、神山町を訪問、インターネット環境を整備し、企業誘致や人口移住、人材誘致に成功し、地方での雇用創出、地方再生のモデルとして高く評価されている特定非営利活動法人グリーンバレーの活動を視察した。

 

 そのほか一行は、パナソニックセンター東京、皇居、浅草を参観、徳島では阿波人形浄瑠璃の鑑賞や迫力ある鳴門の渦潮、大塚製薬株式会社徳島板野工場を視察・参観した。徳島城博物館では、地域の魅力を伝えるべく活躍する元気なシニア観光ボランティアとも交流した。

 

 団員からは、「日本の少子高齢化がいかに深刻な問題であり、政治、経済はもちろん、人々の社会生活や地域の文化・風俗・習慣等にも大きな影響を及ぼしていることを痛感した。日本の経験を学び、問題解決に尽力している関係者と直接交流、意見交換できたことは、得難い貴重な機会となった」「どの領域においても、危機意識と、ふるさとを何とかしようという使命感と責任感を持って問題に対峙している姿が強く印象に残った。中国の農村地域の高齢化、空洞化は、日本より更に複雑な問題を抱えているが、どのように向き合い、問題解決の方法を考えていくべきか、発想のヒントを得、非常に参考になった」「高齢者福祉施設や介護福祉機器の分野では、日本の優れた科学技術だけでなく、日本人特有のおもいやりの精神、心配りが、感じられた」「各訪問交流先でたくさんの活躍する女性に出会った。女性の活躍が今の日本を支える鍵だと実感した」「中日の研究者同士の交流を一層促進し、視野を広げ、アジア全体のさまざまな問題解決に一層尽力したい」など、思い思いの感想が聞かれた。それぞれが訪日で得た成果を、今後の研究や生活に生かしていくとともに、明日の日中友好を担う後継者となってくれるに違いない。

 

日程表 参加者の感想

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