新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」2018年度中国大学生訪日団第1陣

 2018年9月17日から9月24日までの8日間、2018年度中国大学生訪日団第1陣(団長:王 占起 中国日本友好協会 副秘書長)計127名が来日した。本団は北京市の大学生・大学院生・引率で構成され、外務省が実施する「日中植林・植樹国際連帯事業」の一環として招聘した。

 訪日団は、東京・長野・大阪・滋賀にて、環境・防災に関するセミナーや関連施設の視察、植樹活動を行ったほか、オリンピック・パラリンピックに関するブリーフ・視察等を行い、日本への多面的な理解を深めた。また、大学への訪問、ホームステイ等のプログラムを通じ、同世代の大学生や一般市民との交流・親睦を深めた。

 

日本の防災・減災、環境保護の取り組みを学び、植樹活動を実施

 訪日団は、(株)HITOTOWA 執行役員・防災士の津村翔士氏より「社会課題を解決するスポーツの力・スポーツの可能性」というテーマで講義を受けた。少子高齢化、共生社会、自然災害といった日本の社会課題を背景とした、災害発生時の地域のつながりと自助・公助・共助の重要性について説明を受け、同社が取り組む「サッカー防災®」の活動について、デモンストレーションを交えて体感しながら学ぶことができた。

 また、分団ごとに、東京の砂町水再生センター、大阪の堺市クリーンセンター東工場を視察し、大都市における汚水やごみ処理のしくみについて学んだ。東京臨海広域防災公園、東京都北区防災センターの視察では、災害の模擬体験等を行い、日本で行われている防災教育についても理解を深めた。

 第1分団は、長野県の森林に関するブリーフを受け、森林保護活動を積極的に行っている信濃町で、団員全員が汗をかきながらカラマツ195本を植樹した。自分で土を掘りながらの本格的な植樹活動を通じ、一人一人が環境保護について考えることができた。滋賀県日野町での植樹を予定していた第2分団は、残念ながら、天候不良のため植樹が中止となってしまったが、日野町の豊かな自然に触れたことで、環境保護の意識を高めるきっかけとなった。

 

東京・長野・大阪で大学訪問・交流、オリンピック・パラリンピックについても学ぶ

 第1分団は日本体育大学を訪問。大学の概要紹介を受け、スポーツ施設を含む校内の見学を行い、日本を代表する体育大学の雰囲気を体感した。長野では上田女子短期大学を訪問した。歓迎セレモニーに参加したほか、附属の幼稚園等の見学や職員等との昼食交流会を行い、地方ならではの教育環境に触れることができた。

 第2分団は東洋大学を訪問した。茶道、書道、食品サンプル作り、駄菓子等の日本文化を体験しながら学生交流を行い、にぎやかな雰囲気の中、同世代間の親睦を深めた。また、大阪では近畿大学を訪問し、中国語圏に留学経験のある日本大学生と交流したほか、近代的な図書館やスポーツ施設や、相撲・空手の稽古の様子等を見学し、大学のスポーツ振興の現状について理解を深めた。

 また、第1分団は長野県より東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしての取り組みについてブリーフを受け、長野オリンピックの会場のひとつで現在も数々の競技会に使用されているエムウェーブを視察した。第2分団はスポーツ庁・内閣官房より、日本の学校体育と東京オリンピック・パラリンピックについてのブリーフを受けた。それぞれ、2020年に向けた日本政府や地方自治体の政策・活動について学ぶことができた。

 

 さらに第1分団は長野県青木村、第2分団は滋賀県日野町でホームステイを実施し、団員は栗拾いやヤギの乳搾り、着付け、おはぎ作り、太巻き作り、焼き芋作り等、各家庭で日常の学生生活では味わえない貴重な体験をしながら、温かい雰囲気の中ホストファミリーと交流した。

 

 そのほか、東京の国会議事堂、皇居・二重橋、江戸東京博物館、日本科学未来館、東京タワー、浅草寺等の参観や、長野での岩松院、上田城址公園の参観、ぶどう狩り体験、滋賀での近江日野商人館、近江日野商人ふるさと館等の参観等を通して、日本への多面的な理解を深めた。

 団員からは、「初めての来日で、初めて自分自身で樹を植えた。この樹が日中友好の証になることを期待したい」「日本の学生との交流やホームステイを通して、より深く日本の社会、環境、風俗習慣等を知り、理解することができた。日本で知り合った友人たちと連絡を取り続けていこうと思う」「日本のオリンピック・パラリンピックに向けた取り組みが、北京冬季五輪の実施の際も参考になると思った」「日本の街の美しさが忘れられない。日本人の環境保護・防災意識の高さを、帰国後、周りの人々に伝えていきたい」などさまざまな感想が聞かれた。

日程表 参加者の感想