新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」清華大学学生訪日団第2陣

 2018年9月2日から9月8日までの7日間、清華大学学生訪日団第2陣(団長:蔡志楠 清華大学 学生職業発展指導センター 副主任)計148名が来日した。本団は清華大学に所属する大学生・大学院生・引率で構成され、外務省が実施する「日中植林・植樹国際連帯事業」の一環として招聘した。

 訪日団は、東京・福岡・佐賀・滋賀にて、植樹活動、環境・防災に関するセミナーや地方自治体ブリーフ、関連施設の視察等を通じ、環境・防災に関する知識を深めたほか、大学訪問や農家民泊を通じて、日本の一般市民との親睦を深めた。

 

日本の環境、防災・減災の取り組みを学び、植樹活動を実施

 訪日団は、NPO法人プラス・アーツ東京事務所長の小倉丈佳氏より「多世代を巻き込む“楽しみながら学ぶ”新しい防災のカタチ」というテーマで講義を受けた。同団体が行っている、人々が楽しみながら自主的に取り組めるさまざまな防災教育の紹介や、地域の人々の繋がりを深める防災まちづくりに関する活動について聞き、団員が防災・自助・共助について考え、防災・減災について身近に感じる良い契機となった。

 佐賀・福岡コース(88名)は、福岡市民防災センターで災害の模擬体験をし、災害の恐ろしさを体感した。佐賀県唐津市では市の環境基本計画についてブリーフを受け、環境保全のため行政や市民が取り組む具体的な活動について紹介を受けたほか、唐津市松浦河畔公園でオオシマザクラの記念植樹を行った。

 滋賀コース(60名)は、東京スイソミル(水素情報館)を視察し、水素社会実現について学んだほか、滋賀県琵琶湖環境部より琵琶湖の水質改善や環境保全に関する滋賀県の取り組みについてブリーフを受けた。行政や市民が一丸となり琵琶湖を守る姿勢について話を聞けたことは、団員にとって収穫となった。滋賀県立近江富士花緑公園では、滋賀県緑化推進会から、滋賀県の緑化についての説明を受け、百日紅の木の記念植樹を行った。

 各地で日本の防災・環境教育の取り組みについて学んだことや、美しい緑に囲まれた公園で日中友好と未来の環境保全への祈りを込めて苗木を植えたことは、団員にとって大変貴重な機会となった。

 

福岡、滋賀で大学訪問・交流

 佐賀・福岡コースは九州大学を訪問し、カーボンニュートラルエネルギー国際研究所所属の2名の研究員からエネルギー分析等の模擬講義を受けた。またキャンパスツアーでは、先端有機光エレクトロニクスや水素に関する先端研究の紹介や、地球環境負荷低減に貢献するためのキャンパス内インフラ整備について説明を受けた。

 滋賀コースは立命館大学びわこ・くさつキャンパスを訪問し、「日本と世界の経済成長と環境について」というテーマで特別講演を受け、キャンパスツアーは中国の訪日団から高い関心があるという、情報理工学部共同研究室を見学し、日本の大学の雰囲気を体感した。

 

農家民泊ほか各地で日本の多面的な理解を深める

 佐賀・福岡コースは佐賀県唐津市玄海町、滋賀コースは滋賀県日野町で1泊2日のホームステイを体験した。各家庭で料理の手伝いをしたり、農作業を体験したり、史跡見学に出かけたり、それぞれ楽しい時間を過ごし、日本の家庭の温かさや、日本人の考え方に触れた。

 そのほか、東京では国会議事堂、日本科学未来館、皇居・二重橋等の参観や、福岡での九州国立博物館、太宰府天満宮、滋賀での石山寺やびわ湖クルーズ等の参観等を通して、日本への多面的な理解を深めた。

 

 団員からは、「日本の環境保全対策について、市民ひとりひとりの行動や人々の高い意識が、美しい街の景観保持に繋がっていると感じた」「災害時の備えは万が一ではなく当たり前のこととして、子どもや地域の人々、企業を巻き込んでいる日本の防災教育の普及方法は大いに学ぶべきである」「大学訪問で日本の学術文化を体験し、学術交流に国境はないと感じた」「民泊ではホストファミリーの飾り気のない温かさに触れ、深く感動した。いつか皆さんにも中国の温かい家庭文化を体験してほしい」などさまざまな感想が聞かれた。

日程表 参加者の感想