新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」2018年度中国高校生訪日団

 2018年10月16日から10月24日までの9日間、2018年度中国高校生訪日団(団長=何 瑩 広西チワン族自治区教育庁 対外合作・交流処 副処長)が来日した。本団は、陝西省、湖南省、広西チワン族自治区から選抜された高校生と引率の計199名で、外務省が推進する「日中植林・植樹国際連帯事業」の一環として招聘した。

 訪日団は、東京都をはじめ、A・Bコース6分団に分かれて岡山県・広島県・神奈川県・北海道・群馬県・宮城県・千葉県・山梨県・熊本県・福岡県を訪問し、植樹活動、「環境・防災」をテーマにセミナーや関連施設を視察したほか、高校訪問やホームステイ、ファーム体験での交流を通じて、同世代や市民との友好交流と相互理解を深めた。

 

日本の防災システム、環境分野について学ぶ

 本団は来日二日目に、全団そろって「東京の防災公園における発災に備えた取組み」をテーマに(公財)東京都公園協会 公園事業部の葛貫智 防災担当課長よりセミナーを受けた。「避難場所」としての公園の具体的な整備方法や、防災公園で実施している大規模な防災訓練の内容、防災に関する普及啓発活動などが紹介された。ここ数年、世界各地で大規模な地震が発生しており、中国高校生にとっても関心の高い分野であり、質疑応答では、緊急時はどのように避難させるのか、防災公園が機能しない場合はどこに避難するのか、救援物資の輸送や救助隊は直ちに被災地に到着できるか等、多くの質問が挙がり、中国高校生自身が防災や減災について考えるきっかけとなった。

 分団ごとのテーマに関する視察では、城北中央公園、北区防災センター、水島埋立処分場、東京臨海広域防災公園、東京スイソミル、森ケ崎水再生センター、富谷市水素サプライチェーンを視察し、日本の高度な防災システム、環境保護に関する取り組みを学んだ。湖南省の分団は宮城県の震災遺構・仙台市立荒浜小学校を視察し、東日本大震災当時の様子や被災状況を聞いた後、沿岸部に防災林を植樹した。防災林は津波が来た時のエネルギー衰退、漂流物の捕捉などの効果があるため、全員が成長に願いを込めて植樹した。

 

日本の高校生と植樹活動や授業参加、サッカー交流を実施

 学校交流は、日程前半に岡山県・北海道・宮城県・熊本県の6校、後半に神奈川県・東京都・群馬県・千葉県・山梨県・福岡県の6校を訪問。各校で日本高校生との植樹活動、環境・防災に関する学習プログラムをはじめ、英語、理科、体育、家庭科、茶道、柔道、剣道、卓球など、さまざまな授業や部活動に参加した。ほとんどが初来日だった中国高校生たちは、最初は緊張していたが、英語や筆談で交流したり、翻訳アプリを利用して自己紹介したりし、日本の高校生と心の距離を縮めることができた。どの学校からも熱烈歓迎で迎えられ、学校ごとに工夫のこらしたプログラムで、充実した時間を過ごした。このうち湖南省の1分団はサッカー交流を実施し、合同練習や対抗試合を行った。応援団も参加し、白熱したプレイに歓声が上がった。また、各地で5分団はホームステイ、1分団はファーム体験を行い、日本人の家庭や生活を体験したり、ファームで酪農体験をしたりと、活発に活動した。

 帰国前の中国高校生からは、「セミナーや防災施設の視察で、いざという時の対処法や日頃からの備えが災害被害を最小限に抑えることができると分かった」「学校交流では日本の学生と一緒に授業に参加したり校内を掃除し、中国の学校との違いを体感した」「日本の学生と一緒に植樹した木は友情の証となった。大きくなった木を見にもう一度戻って来たい」「サッカー交流ではグラウンドで一緒に汗を流してサッカーの楽しみを味わい、日本の学生のサッカーへの情熱とレベルの高さを感じた」「ホストファミリーのお父さんお母さんが我が子のように接してくれ、お別れする時に涙が出た」「帰国後は日本で学んだこと体験したこと感じたことを家族や友人に話し、日中友好の使者となれるよう努力したい」など思い思いの感想が聞かれた。

日程表 参加者の感想