新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2018」中国青年代表団

 2018年11月12日から11月16日までの日程で、中国青年代表団(団長=関湧 中国日本友好協会 理事)60名が来日した。本団は、中国北京市および雲南省の青年公務員と農村青年幹部で構成され、外務省が推進する「JENESYS2018」の一環として招聘した。代表団は、東京・長崎にて、各分野に関連する訪問・視察を行ったほか、包括的な対日理解を深めるためのさまざまなプログラムに参加した。

 

長崎県の産業・農業振興に関する取り組みを学ぶ

 公務員分団は、長崎県産業労働部から説明を受け、県の産業の現状と課題や、造船業に次ぐ新たな基幹産業の育成に向けた各種取り組みについて学んだ。その後、汚水処理施設向けの水処理機械等の設計・製作等を行う協和機電工業(株)で、環境保全への取り組み、高品質な製品を作り出す技術力や品質・安全管理体制、社員教育状況等を見聞きし、地域経済をリードし社会貢献を果たす姿勢に感銘を受けた。さらに、三菱重工業㈱長崎造船所史料館を視察し、造船所の歴史と日本の近代化に果たした役割を学び、世界遺産を活かした観光振興について理解を深めた。

 農村青年幹部分団は、全国でも従事比率が高く、農業を重要な基幹産業と位置づけている長崎県の農業振興について学んだ。長崎県農林部から説明を受け、平坦地が少ない厳しい地理的条件を創意工夫によって克服し、多種多様な農業を展開している現況、その特長や課題を理解した。続いて、その好事例として諫早市にて2つの農場を視察。飯盛有喜地区では基盤整備された段々畑を眺望しながら、所得向上や後継者確保などの成果を上げた営農状況が紹介された。諫早湾中央干拓地区では干拓地造成の目的や灌漑の機能について学んだ後、広大な農地をバスで一周しながら営農の特長である環境保全型農業についても理解を深めた。就農者の高齢化や人材確保など、共通の課題からも有意義な示唆を得た。

 

 そのほか、東京では皇居二重橋、長崎では雲仙岳災害記念館がまだすドーム、出島、グラバー園の視察・参観を通じ、日本の文化・歴史・環境・防災について触れた。

 団員からは、「日本人が私たちに向けてくれた微笑み、礼儀正しさといった真心や善意によって、言葉以上の交流が図れることが分かった」「日本の近代化に大きな役割を果たした長崎の輝かしい歴史、環境を保護しながら自社を発展させようとする企業の思い、細かなデータ分析を駆使した説明などを通じて、日本の匠の精神を学んだ。帰国後は、この精神を自ら実践したい」「ブリーフに加え農場視察を通じ、美しい自然にじかに触れながら日本の農業振興や発展について理解を深めた。帰国後は、各々の農村の実情に合わせ、長崎で新たに学んだ直売所の機能や就農者の所得向上策を着実に実践したい。実践なくして真意は得られない」等の感想が聞かれた。5日間のさまざまな活動を通じて、団員は日本に対する理解を深め、今後は各専門分野で日中の懸け橋となってくれることが期待される。

日程表 参加者の感想