新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2019」中国高校生訪日団

 2019年6月11日から6月19日までの9日間、中国高校生訪日団 (団長=翟密林 山西省教育庁 基礎教育処 副処長)が来日した。本団は、山西省・雲南省から選抜された高校生と引率の計100名で、外務省が推進する対日理解促進交流プログラム「JENESYS2019」の一環として招聘した。

 訪日団は、東京都をはじめ、3つの分団に分かれて京都府・滋賀県・埼玉県・神奈川県・北海道・大阪府を訪問し、高校訪問やホームステイ等での交流や体験を通じて、同世代および一般市民との友好交流と相互理解を深めたほか、さまざまな分野における日本の魅力・強みを体感した。

 

日本のボランティアの現状について学ぶ

 本団は、「ボランティア」をテーマとし、日本財団学生ボランティアセンターの宮腰義仁氏よりセミナーを受けた。講師は日本の大学生のボランティアに対する意識や取り巻く環境について紹介し、ボランティアとは自発的な活動で枠にはまらないことが大切であると説いた。その後、講師への質問や感想を学校ごとに話し合い、発表を行った。中国高校生からは、参加したい人が多くいるのに、行動に移していないのはなぜか、どうすれば日本のボランティア活動に参加できるか、ボランティア活動は自分を高めるためか、それとも他人を助けるためか、など沢山の質問や感想が挙がり、ボランティアとは何か?を自分達なりに考えるきっかけになった。

 また、第1・2分団はしながわ防災体験館、第3分団は横浜市民防災センターを訪問し、応急救護やケガ人の搬送、要配慮者避難誘導等を学び、災害が発生した時にどのような対応ができるか、体験することができた。

 

高校訪問で授業や部活動参加を通して同世代交流

 学校交流は、前半に京都府・北海道の3校、後半に埼玉県・東京都・大阪府の3校を訪問。各校とも多彩なプログラムが準備され、漢詩、英語、数学、生物、体育などさまざまな授業に参加したほか、茶道、自然科学、バスケットボール、バレーボールなどの部活動も体験した。また、日中の高校生が学校生活や文化等を紹介し、共通点や相違点に驚くこともあった。当初、緊張していた高校生たちも、英語や筆談、翻訳アプリやジェスチャーを駆使してお互いのことを知り合い、楽しい時間を共有した。

 

ホームステイや酪農体験も

 また、各分団でさまざまな体験プログラムに参加。第1・2分団は滋賀県日野町でホームステイを行い、各家庭で家事や農作業の手伝い、小物作りや着付け体験等を通して、思い出に残る時間を過ごし、ホストファミリーと交流を深めることができた。第3分団は北海道にて牧場で乳搾りやバター作りなどの酪農体験や、和風温泉旅館に宿泊し、雄大な北海道を体感した。

 そのほか一行は、東京都では虹の下水道館、国会議事堂、ニコンミュージアム、江戸東京博物館等、各地方では嵐山や伏見稲荷大社、琵琶湖博物館、北海道キッコーマン工場や札幌オリンピックミュージアム、ATCエイジレスセンター等を参観し、歴史・自然科学・政治経済・文化など、広くさまざまな分野から包括的な日本理解に努めた。

 

 帰国を前に中国高校生からは、「日本の高校生がフレンドリーに接してくれてうれしかった。たくさんの友人ができたので帰国しても連絡を続け、今度は中国で再会したい」「セミナーを通じ、ボランティアに必要な愛の心を学んだ」「日本人はマナーを守り、協調性を大切にしている。中国も学ぶべきだと思った」「ホストファミリーとの交流では、言語は違っても心は通じ合えると分かった」「帰国後は、日本での体験をまとめて、学校内で発表を行って共有したい」など思い思いの感想が聞かれた。

日程表 参加者の感想