新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2019」中国社会科学院青年研究者代表団第2陣

 2019年10月27日から11月3日までの8日間、「JENESYS2019」中国社会科学院青年研究者代表団第2陣一行25名(団長=劉紅・中国社会科学院 定年退職幹部局 局長)が来日した。本団は、中国社会科学院に所属する青年で構成され、「高齢化社会対策」を訪日テーマとし、東京・秋田にて訪問・視察を行い関係者と交流したほか、歴史・文化・自然の参観や秋田県仙北市でホームステイなど、さまざまなプログラムを通じて包括的な対日理解を深めた。

 

日本の高齢化社会の現状や対策について学ぶ

 始めに東京で厚生労働省から高齢化社会対策に関する取り組みについてブリーフを受け、介護現場の革新や介護保険料の低所得者軽減強化、認知症施策の推進などの方策について理解を深めた。一橋大学経済研究所では相互発表を行い、日本の高齢化と政策対応を理解するとともに、中国の人口高齢化の状況と政策対応を紹介し、双方、研究内容について活発な意見交換をすることができた。独立行政法人地域医療機能推進機構東京高輪病院を訪問し、地域の医療機関との連携や地域包括ケア病棟などについて紹介を受け、日本の病院事情を理解することができた。社会福祉法人シルヴァーウィング特別養護老人ホーム新とみでは、現場視察を行い、介護ロボットの活用が介護者と被介護者の負担軽減に繋がることを知った。

 秋田では、秋田県庁より秋田県の高齢者社会の現状と課題についてブリーフを受け、介護人材確保対策や高齢者の生きがいづくり、介護予防の推進について学んだ。秋田市シルバーセンターでは概要と取り組み紹介を受けた後、会員との懇談会を行った。高齢者の仕事に対する考え方などを知る貴重な機会となった。いずれの訪問先でも活発に交流や質疑応答が行われ、日本の高齢化社会で発生している問題点や被介護者に対する現場改善など、高齢化社会対策について多面的に学ぶことができ、実り多い訪問となった。

 このほか、秋田県仙北市でホームステイを行い、日本人の生活や文化についても触れることができた。

 

 8日間の訪日活動を通し、団員からは、「日本では高齢化対策として、政府や民間団体でさまざまな取組みを行い、努力していることを知った。高齢者への生きがい作りや介護サービス、被介護者に対する環境改善についてとても参考になった」「ブリーフを受け、コストパフォーマンスの面、特に税収政策において高齢化が日本に多角的影響をもたらしていることが理解できた。今後、中国の現状に合わせた高齢化対策の制定や実施の方向性をまとめていきたい」「人口高齢化の問題は中日両国共通の長期的社会問題である。中国はまだ深刻ではないが、いずれ中国も日本と同じ状況になると思う。引き続き日本が行っている政策を研究する必要があると感じた」「今回の訪日活動で知りあった方々と今後も連絡を取り合い、学術交流を深めたい」などの感想が聞かれた。それぞれが今回の訪日で得た成果を今後の研究や生活に生かしていこうと強く意識する貴重な機会となったと思われる。

日程表 参加者の感想