新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」2019年度中国大学生友好交流訪日団

 2019年11月23日から11月30日までの8日間、2019年度中国大学生友好交流訪日団(団長:袁 敏道 中国日本友好協会 秘書長)計298名が来日した。本団は安徽省、江蘇省、河北省、浙江省、湖南省、陝西省の大学生・大学院生で構成され、各省と友好交流提携を結ぶ高知、福岡、長野、静岡、滋賀、香川の各県を訪問し、植樹活動、環境保護や防災に関するセミナーや関連施設の視察、大学生や市民との交流を通し、中国大学生の環境・防災意識の啓発とともに、日中友好交流都市間の交流の一層の促進を図った。また、東京で開催した日中青少年交流推進年 第2回 日中大学生500人交流にも参加し、思い出に残る時間を過ごした。

 

友好交流関係にある自治体を訪問

 訪日団のうち、日中友好会館が受入れを担当した安徽省分団50名は高知県を、江蘇省分団50名は福岡県を訪問。高知大学を訪問した安徽省分団は、約40名の日本大学生と昼食交流会、キャンパスツアー、模擬授業に参加。数日前に安徽省を訪問した日本大学生もおり、ともに日中友好の歴史について学び、日中の大学生活の違いや、来日して感じた日本の印象、お互いの趣味の話で盛り上がった。また、黒潮町では天日塩づくりの工程を体験し、大自然の恵みを身近に味わった。

 江蘇省分団は九州産業大学を訪問し、グループワークやキャンパスツアー、昼食交流に参加した。グループワークでは「キャッシュレス化の進展に関する日中の差」についてディスカッションを行い、日中のキャッシュレス化の現状や安全性、問題点など身近なテーマで活発に意見交換ができた。キャンパスツアーではキャリア支援センターを見学し、面接の模擬練習やプロによる化粧方法の指導を受け、日本の就職活動についても理解することができた。朝倉市ではホームステイを行い、子どもから高齢者まで幅広い世代のホストファミリーと農作業の手伝いや華道体験、着物着付け体験などを通じて交流を深めた。

 両分団とも県庁を表敬訪問し、概要紹介のブリーフを受けたほか、植樹活動を行い、相互交流のますますの発展を祈念した。高知県、福岡県とも多彩なプログラムが準備されており、団員は滞在を楽しんだ。

 

日本の環境保護・防災の取り組みを学ぶ

 東京では両分団そろって国立研究開発法人国立環境研究所 地球環境研究センター 副研究センター長 江守正多氏より「気候変動と私たちの未来」というテーマでセミナーを受けた。地球温暖化のしくみ、温暖化がもたらす主要なリスク、温暖化を抑えるための対策などについて説明があり、「世界の地球温暖化問題の未来は、中国が重要な鍵を握っている」という言葉で締めくくられた。大学生からは熱意あふれる質問が数多く出され、世界が抱える温暖化問題について考える機会となった。その後、神奈川県川崎市の王禅寺エコ暮らし環境館で地球環境やごみ焼却処理、資源化処理について実際に設備を見学しつつ学んだ。

 江蘇省分団は北九州エコタウンにて市が取り組むエコタウン事業について紹介を受け、ペットボトルや家電のリサイクル施設を見学した。資源循環型社会の重要性や日本の環境保護についてバランスよく一連を理解することができ、皆興味津々な様子だった。

 安徽省分団は高知県黒潮町が取り組んでいる「犠牲者ゼロの南海地震・津波対策」の講義を受けた他、カード形式の防災シミュレーションゲームを行った。過去の災害体験をもとに作られた設問に対し、自分なりに考えてYESかNOを選択し、グループ内でなぜそれを選択したか意見交換をした。また津波が来たことを想像し、海岸から避難タワーまでの経路を実際に歩き、災害を自分の身に引き寄せて考えることができた。

団員からは「環境・防災について多くのことを学んだ。日本は環境保護・防災教育を幼少期から行っている。これは中国も参考にすべきだと思う。帰国したら家族や友人にも伝え、今後の生活に役立てたい」「植樹活動を通じ、両国の友好を体感することができ、よい思い出になった」「どの訪問先でも温かく迎えてくれ、多くの人と知り合えた。特に日本大学生が日中両国の明るい未来を想像しているのは印象的だった。自分も日中友好の使者になれるよう努力していきたい」などさまざまな感想が聞かれた。

日程表 参加者の感想