新時代を担う日中友好の架け橋に

日中国交正常化50周年記念コラム 第6回(村上立躬)

日本と中国の国交が正常化されてから50周年となる本年、日中友好会館ではホームページとメールマガジンで「日中国交正常化50周年記念コラム」を連載いたします。

日中交流に長く携わった方や、日中友好会館の各事業に参加された幅広い世代の方に、日本と中国に関わりのある事柄、随筆、これまでの日中交流のエピソードや、これからの日本と中国に向けての期待・希望などを執筆いただき、一年にわたって連載します。また、日中民間交流の拠点として貢献する日中友好会館の取り組みなども合わせてご紹介します。

日本と中国のこれまでの歩みを振り返りながら、新しい友好関係の構築に向けたプラットフォーム作りの一助となれば幸いです。

 

古井喜実初代会館会長と日中国交正常化

公益財団法人日中友好会館 元顧問 村上立躬

 

日中国交正常化に古井先生の果たした役割を、松尾尊兊京都大学名誉教授は、「中国では文化大革命で知日派が殆ど失脚し、日本では親台湾の佐藤長期政権が継続するという困難な状況の中で、民間貿易の形で、かろうじて日中関係をつなぎとめたのは古井さんであった。ニクソン訪中、田中角栄首相の出現という劇的な変化に乗じて、一挙に日中国交回復を実現させる舞台回しをつとめたのも古井さんであった。」と述べている。

中国側もこの功績を高く評価して、古井先生の意向を重視していた。日中国交正常化10周年にあたり、両国政府合意の記念共同事業として「日中会館」の建設が計画されて、政・官・財・学・文化界等を挙げて準備作業が進められていたが、1982年10月訪中していた古井会長は趙紫陽総理から会見をもとめられた。懇談の際、「日中会館」について趙紫陽総理は「古井先生がこの会館に非常に関心を持っておられることに感謝します。お贈りするのは5億ばかりですが支持するということです。」と発言された。

これで「日中友好会館」建設が確定した。今年は50周年にふさわしい記念事業の実現を期待している。

2022年1月

第1期工事竣工披露宴(1985年4月)の席で挨拶する筆者

 

1982年10月、古井喜実会長(前列右から5人目)が訪中。
趙紫陽総理(前列右から4人目)と会談を行った。

 

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