新時代を担う日中友好の架け橋に

日中国交正常化50周年記念コラム 第24回(杉村美紀)

日本と中国の国交が正常化されてから50周年となる本年、日中友好会館ではホームページとメールマガジンで「日中国交正常化50周年記念コラム」を連載いたします。

日中交流に長く携わった方や、日中友好会館の各事業に参加された幅広い世代の方に、日本と中国に関わりのある事柄、随筆、これまでの日中交流のエピソードや、これからの日本と中国に向けての期待・希望などメッセージを執筆いただき、一年にわたって連載します。また、日中民間交流の拠点として貢献する日中友好会館の取り組みなども合わせてご紹介します。

日本と中国のこれまでの歩みを振り返りながら、新しい友好関係の構築に向けたプラットフォーム作りの一助となれば幸いです。

 

哈蜜瓜と自由市場の人々

公益財団法人日中友好会館 評議員 杉村美紀

 

 家人の仕事の都合で2001年から2002年にかけて北京に住んでいた時には、多くの中国の方々に大変お世話になりました。

なかでも当時、我が家の台所を支えてくれていた三里屯にある新源里自由市場の人々との交流は忘れられない思い出です。うず高く積まれた野菜や果物のなかでも、夏の果物でラグビーボールのような形をした哈蜜瓜(ハミウリ)※が大好きだった私は、よくそれを買っていました。それが高じて、いつしか市場に行くと、「哈蜜瓜夫人来了来了!(ハミウリおばさんが来たぞ!)」と言われるようになりました。

日本に帰国後、今度は出張で北京に行った際、久しぶりに懐かしい同市場を訪ねると、「東京でも元気で頑張ってね」と売り物のミカンをそっと手渡してくれ、まるで親戚のように温かく迎えてくれました。

夏の暑さや、零下になる冬の厳しい寒さの中でも、朝まだ真っ暗なうちから荷台に一杯荷物を積んで動き出していた市場の人々の様子と日常を思うと、北京の街の人々の他者を思う優しい気持ちは、中国について考える際に私のなかでいつも思い出される宝物です。

日中関係は時代の流れと共に様々に変化していますが、それぞれの暮らしぶりは変わっても、「親戚」に想いを寄せる人と人のつながりは、いつの時代も交流を支えあう大切な礎だと考えます。

日中国交正常化50周年を迎え、これまでの交流を振り返り、あわせてこれからの交流のあり方を願う時、これまでも度々言われてきたように、人々の縁と想いをつなぐ交流であり続けてほしいと強く祈ります。

                      (上智大学総合人間科学部 教授)

 

 

※哈蜜瓜(ハミウリ)とは中国新疆ウイグル自治区ハミ地方特産のメロンの一種で、甘みが強く、味は「メロン」、果肉はサクサクとした「スイカ」のような果物。

 

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