新時代を担う日中友好の架け橋に

日中国交正常化50周年記念コラム 第38回(秦兆明)

日本と中国の国交が正常化されてから50周年となる本年、日中友好会館ではホームページとメールマガジンで「日中国交正常化50周年記念コラム」を連載いたします。

日中交流に長く携わった方や、日中友好会館の各事業に参加された幅広い世代の方に、日本と中国に関わりのある事柄、随筆、これまでの日中交流のエピソードや、これからの日本と中国に向けての期待・希望などメッセージを執筆いただき、一年にわたって連載します。また、日中民間交流の拠点として貢献する日中友好会館の取り組みなども合わせてご紹介します。

日本と中国のこれまでの歩みを振り返りながら、新しい友好関係の構築に向けたプラットフォーム作りの一助となれば幸いです。

 

民間交流が生み出す共同体意識―中日国交正常化50周年を機に

後楽会(中国)友好聯誼会吉林分会会長 秦兆明

 

 「国之交在于民相亲,民相亲在于心相通」(訳:国の交わりは民の友情にあり、民の友情は心と心のつながりにある)――日中友好会館後楽寮は、両国民の友好のかけ橋の土台であり、文化教育交流拠点でもあります。

2007年4月から2008年3月まで、東京外国語大学の客員研究員として後楽寮に入寮しました。長野県飯綱町にある鈴木和彦さんの家でのホームステイ、北斎館、仙台七夕まつり、宮沢賢治記念館、国会議事堂参議院、埼玉県浦和市にある松本杏花さんの家での茶道等の文化体験、岡嶋先生招待の箱根芦ノ湖観光、沼倉守先生招待の花巻市南温泉峡藤山鉛温泉などの体験。日本の文化を理解するだけでなく、日本国民との友情をさらに深めることができました。

2015年11月、私は後楽寮を再訪し、田辺奈津子さんに会い「後楽会(中国)友好聯誼会吉林分会」を設立しました。そして、初代会長に選出されたことを光栄に思います。 2019年2月に再び後楽寮を訪れ、学術講演「後楽講堂」を行いました。「跨文化交际的日本认知」(訳:異文化間コミュニケーションにおける日本人の認知)というテーマで、多くの中国と日本の友人と友好的な交流を行い、さらに友情が深まりました。

最近ではCOVID-19のパンデミックの際に「山川异域,风月同天」(訳:山河は異なろうとも風や月は同じ天の下にある)、「岂曰无衣,与子同裳」(訳:着るものがないなら、一着の服を共に着ればよいではないか)、「青山一道同云雨,明月何曾是两乡」(訳:中日両国は地域こそ異なるが、雲雨は同じく、しかも同時に名月を見ることができる)。などの故事成語が多くの場面で使われ、両国人民の助け合いの心や思いやりをより強いものとしました。これには深く感動しました。

 

後楽講堂 2019年2月

「五十知天命」(訳:50にして天命を知る)と言いますが、中日国交正常化50周年を機に、未来に向けて、中国と日本の人民は世代から世代へと友好的な交流を続け、さまざまな分野での交流を深め、共同体意識をさらに強化していってほしいと思います。

さらに、このコラムが中国と日本の人々にわずかでも啓蒙をもたらし、両国の相互理解を深めると同時に、誰しもが永遠の中日両国友好のための使者として活躍されるよう祈っています。

(東北師範大学中国赴日本国留学生予備学校副教授)

 

 

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