新時代を担う日中友好の架け橋に

日中国交正常化50周年記念コラム 第41回(王文強)

日本と中国の国交が正常化されてから50周年となる本年、日中友好会館ではホームページとメールマガジンで「日中国交正常化50周年記念コラム」を連載いたします。

日中交流に長く携わった方や、日中友好会館の各事業に参加された幅広い世代の方に、日本と中国に関わりのある事柄、随筆、これまでの日中交流のエピソードや、これからの日本と中国に向けての期待・希望などメッセージを執筆いただき、一年にわたって連載します。また、日中民間交流の拠点として貢献する日中友好会館の取り組みなども合わせてご紹介します。

日本と中国のこれまでの歩みを振り返りながら、新しい友好関係の構築に向けたプラットフォーム作りの一助となれば幸いです。

 

東遊記〜日本への旅

一般社団法人アジア芸術文化促進会代表 王文強

 

 日中国交正常化50周年を迎えた今年、文化芸術に携わる身として、何か企画できないかと考えていた矢先、日本で「西遊記」の舞台を手がける日本人演出家とのご縁がありました。

 

「西遊記」は中国で生まれ、日本は勿論、世界的にも親しまれているお経を授かる旅の物語です。思えば、人生もまた旅です。西遊記のように、仲間やパートナー(師徒一行)と共に、様々な困難(妖怪達)と出会い、戦い、迷い、葛藤しながらも、自分の目的地(西天)を目指す旅です。

 

私は12歳から両親や故郷と離れ、中国伝統芸能の黄梅劇、変面などを学ぶ旅を始めました。その後、役者として劇団で働き、中国戯曲学院に入学。その後とあるきっかけで来日することになり、日本の大学院を卒業するまで約20年間、長い旅を送って来たと感じます。

 

「なぜ8年前まで日本に何も縁の無かった自分が、いまここ(日本)にいるのか」と考えると、結論としてはやはり「人(日本人)との出会いがあったから」といえるかもしれません。

 

中国と日本、長い歴史の中で、私という人間は浩瀚な砂漠の中のほんの一粒の砂でしかなく、しかしこの一粒の砂が日中間の繋がりを今日まで作り上げ、切っても切れない千糸万縷の関係になっています。

旅の途中で、しかも何が起こるか予想できない現代の中で、その途中の風景、人と人との出会いや感動、喜びなど、それこそが本来の旅の意味ではありませんか?

 

今秋に国立能楽堂で中国伝統芸能「変面」、日本舞踊、語り芸が融合したこれまでに例のない日中合作現代劇を上演予定ですが、自分達にとっての「西天」を目指して、今後も稽古を進めていきます。(今一番苦労していることは日本語でのセリフ読みです。)

 

「芸術には“力”があり、その力は『国境・宗教・人間の心の壁』をも超える」という信念のもと、今後も微力ながら、中日の文化交流に貢献していきたいと思います。

 

(元後楽寮生)

 

 

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