新時代を担う日中友好の架け橋に

日中国交正常化50周年記念コラム 第43回(石川好)

日本と中国の国交が正常化されてから50周年となる本年、日中友好会館ではホームページとメールマガジンで「日中国交正常化50周年記念コラム」を連載いたします。

日中交流に長く携わった方や、日中友好会館の各事業に参加された幅広い世代の方に、日本と中国に関わりのある事柄、随筆、これまでの日中交流のエピソードや、これからの日本と中国に向けての期待・希望などメッセージを執筆いただき、一年にわたって連載します。また、日中民間交流の拠点として貢献する日中友好会館の取り組みなども合わせてご紹介します。

日本と中国のこれまでの歩みを振り返りながら、新しい友好関係の構築に向けたプラットフォーム作りの一助となれば幸いです。

 

親たちも学んだ日中青少年交流

「日中青少年交流事業」諮問委員会委員 石川好

 

本年は日中が国交正常化して50年の節目の年を迎える。私は過ぐる20年近く、多くの交流事業に参加してきた。たくさんの思い出と出会いがあったが、その中で強く記憶に残るエピソードを紹介したい。それは青少年交流事業である。改めて説明するまでもないが、本事業は日中両国の青少年が相互訪問し、ホームステイをしながら交流を深化させるもの。私は中国の高校生たちが来日した際、秋田県を訪問することとなり、アドバイザーとして参加した。

中国どころか、初めて外国人を自宅に寝泊まりさせるということで、秋田県のホストファミリーは緊張していた。生活習慣は違うし、言葉も通じない。中国側の高校生たちは、国の方針もあり特別優秀な生徒らしく、英語をかなり話すことが出来た。一方の日本の高校生たちは、ほとんど英語が話せないし、その上恥ずかしいのかモジモジするばかり。ホストファミリーはハラハラしながら過剰なくらいホスト役に努め、中国の高校生たちは、積極的に両親にも話しかけてくるのであった。これは秋田県に限らず、その時受け入れてくれた全ての自治体が経験したことであろう。

日中青少年交流事業 諮問委員会において
2017年 筆者(中央)

日中の高校生たちによるホームステイ交流なのだが、ショックを受けたのは、実は日本のホストファミリーであった。私はホストファミリーをしてくれた親たちから、極めて意外な言葉を聞いた。

「ホストファミリーを受けて良かったです。実は当初中国人はマナーが悪いと聞いていて心配だった。ところがその風評とは真逆で、うちの子供たち以上に礼儀正しく、食後の食器洗いや掃除まで積極的にする。我が家の子供は、ただ眺めるだけ。中国の高校生たちのマナーに教えられることが多かった。中国人に対する見方が大きく変わりました。私たちはそのお礼がしたいくらいです。」

このファミリーはその後、滞在した高校生との手紙やメールでの交流が続いていたという。

(酒田市美術館 館長、作家)

 

 

 

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