新時代を担う日中友好の架け橋に

【特別寄稿】中華人民共和国駐日本国特命全権大使 孔鉉佑閣下

 

友好の初心を忘れず、交流と協力を深め、

ともに中日の平和・友好・協力の新たな章を書き記そう

 

中華人民共和国駐日本国特命全権大使 孔鉉佑

 今年は中日国交正常化50周年です。50年来、中日関係は度重なる困難を克服し、大きな発展を遂げました。両国は互いに支え合い、深い交わりをもち、各分野の交流と協力はこれまでにない広がりと深度に達しています。両国間の貿易額は10億ドルから3,700億ドルへと大幅に増加し、新型コロナウイルス感染症発生前の人的交流は年間延べ1,200万人に達しており、また両国間には260組以上の友好都市があります。中国と日本というこの2つの重要な国は、世界で第2位と第3位の経済大国であり、両国関係はこれまでこれらの地域と世界に大きな影響を与えてきました。さらに今後も少なからぬ影響を与え続けるでしょう。私たちは、苦労して獲得した中日関係発展の成果を無駄にすることなく維持し続け、そこから未来を照らす知恵を汲み取っていかなければなりません。

 歴史を振り返ると、50年前、両国の先の世代の指導者たちは、卓越した戦略的知恵と政治的勇気をもって、東西冷戦を背景とする状況のもと、政治体制、社会制度、イデオロギーのギャップをも越え、対立と断絶を完全に終わらせました。そして、異なる陣営の国家間に平和的共存と友好交流のモデルを打ち立てたのです。50年後の今日、中日関係は新たな歴史的出発点に立ち、新たなる複雑な状況に直面していますが、これはまた新しいチャンスでもあります。中日双方は国交正常化の初心を忘れることなく、両国関係の歴史の中から経験と教えを汲み取り、中日間の4つの政治文書の原則と精神を堅持し、両国の指導者が到達した重要な共通認識のもとに、両国が苦労して獲得した平和と発展を維持・強化し、新しい時代に求められる中日関係の構築のため、ともに力を尽くし、より成熟・安定し、より強固な中日関係を次の 50 年につなげるために、ともに努力していきたいと思います。

 民間の友好は中日両国関係における素晴らしい伝統であり、貴重な財産です。戦後、両国国民は不再戦の誓いを抱きつつ、世代を超えた友好の信念を基に、民をもって官を促し、経済が政治を促し、地方が中央を促して、民間友好交流の一大ブームを推し進めてきました。これらは国交正常化と、中日関係のたゆまぬ発展を成し遂げました。国交正常化50周年の今日、中日友好の発揚は過去のいつの時代よりもさらに重要なものと言えるでしょう。この初心は忘れることはできません。そして、友好の旗印をしっかりと掲げ続けなければなりません。私は、日中友好会館を代表とする友好団体の皆さまが、新型コロナウイルス感染症の影響を克服し、人的・文化交流を広範に繰り広げ、特に両国の青少年、地方都市、文化等の分野における交流を強化するために尽力されることを期待しています。中日両国民の相互理解を引き続き促進するとともに、友好交流事業に身を投じる両国の若い世代を引き寄せ、中日の平和・友好・協力の新たな章をともに書き記そうではありませんか。

(公益財団法人日中友好会館 名誉顧問)

 

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