「JENESYS2025」中国大学生映画交流訪日団
本事業は、「映画」をテーマに、上海大学上海電影学院に所属する大学生・大学院生を訪日招聘し、東京国際映画祭(TIFF)イベントへの参加、TIFFCOM視察、日本人監督や日本、海外の学生との交流、博物館参観、企業視察などを行うことで、映画を通じた日中相互理解を深めるとともに、今後につながる人脈形成を促すことを目的として実施しました。






Contents
Highlight
東京国際映画祭関連イベントへ参加
「ミートアップ・ネットワーキングイベント」では、アジア学生映画コンファレンス入選作品の学生監督やAsian Film Academy訪日団(香港学生)と交流を深めました。また、「マスタークラス」では、深田晃司監督とりんたろう監督が登壇し、映画作りにおける資金調達や映画創作の歴史、カメラワークなどについて話を聞きました。「クロージングパーティー」では、アジア学生映画コンファレンス入選の日本大学の学生監督や最優秀女優賞を受賞した『恒星の向こう側』の福地桃子(俳優)さんや中川龍太郎監督などと交流し、団員は映画制作についての助言をもらったり、互いの創作のインスピレーションについて語り合っていました。
映画についての視察
TOHOスタジオでは、『ゴジラ』シリーズや黒澤明監督作品など、ここで制作された複数の作品に携わった、特撮など各分野の伝説的なスタッフへのインタビューなどを交えた映像作品を鑑賞したほか、実際のスタジオや特殊メイクの作業場、小道具倉庫などを見学し、団員はたいへん興奮していました。日本大学芸術学部の訪問では、同大学の学生作品を鑑賞したほか、同大学の教育システムについて説明を受け、産学が連携し、監督や撮影だけでなく制作や配給など全産業チェーンについても学ぶ実践的な教育に感嘆していました。
実施概要
| 招聘期間 | 2025年10月31日(金)~ 11月6日(木) 6泊7日 |
| 招聘人数 | 25名(団長、副団長、引率2名、団員21名) |
| 実施団体 | (公財)日中友好会館 |
| 派遣協力 | 在上海日本国総領事館 |
| 派遣機関 | 上海大学上海電影学院 |
| 内 容 | ・東京国際映画祭関連イベント参加 |
| ・大学訪問 | |
| ・訪日テーマ「映画」に関する視察 | |
| ・日本の経済・社会・文化・歴史等に関する視察、体験プログラム等 |
主な日程
| 10月 31 日 | (金) | 来日、【東京国際映画祭】TIFFCOM視察、歓迎会 | |
| 11月1日 | (土) | 埼玉県へ移動、角川武蔵野ミュージアム視察、キツネお面製作体験 | |
| 東京都へ移動 | |||
| 11月2日 | (日) | 東京国立博物館(VRシアター等)視察 | |
| 11月3日 | (月) | 国会議事堂視察、【東京国際映画祭】アジア学生映画コンファレンス ミートアップ・ネットワーキングイベント参加 | |
| 歌舞伎座ギャラリー視察、【東京国際映画祭】アジア学生映画コンファレンス入選作品(プログラム1)鑑賞 | |||
| 11月4日 | (火) | TOHO映画スタジオ視察、【東京国際映画祭】アジア学生映画コンファレンス マスタークラス参加 | |
| 11月5日 | (水) | 江東区深川江戸資料館視察、日本大学芸術学部訪問 | |
| 【東京国際映画祭】クロージングセレモニー・パーティー参加 | |||
| 11月6日 | (木) | 歓送報告会(訪日成果・帰国後の活動計画発表)、国立映画アーカイブ視察、帰国 |
参加者の感想
◆今回の訪日期間中、東京を訪れ、日本の映像産業の制作プロセスや市場の仕組みを体験することで、日本映画の産業体系や創作環境についてより直感的に理解することができました。日本の映画関係者や学生との交流を通じて、彼らが物語の構造、カメラワーク、チーム協力において持つ専門的な精神と細やかな態度を深く感じました。特に中国の若手クリエイターの短編作品について議論した際に、日本側から提案されたリズムのコントロールや感情表現のアドバイスは、今後の私の創作に新たなアイデアをもたらしてくれました。さらに、日本の映像教育システムが実践訓練を重視していることを知り、国内の教育改善の方向性についても考えさせられました。今回の交流は視野を広げただけでなく、国際的な視点で映像表現を探求するという私の信念をさらに強固なものにしました。今回の交流で、日本の学生監督の短編作品を鑑賞し、彼らとの交流を通じて、題材や技法、ジャンルなどの面で、日本の映画を学ぶ学生はすでにアジア、さらには世界の最前線に立っていることを実感しました。
◆終了したばかりの東京国際映画祭の交流訪問では、私たちは深い交流と学習を行い、期待をはるかに超える成果を得ました。特に私が感慨深く思ったのは、この旅が私の日本文化に対する元々の印象を根本的に変えたことです。正直に言うと、以前は日本文化に特に強い関心は持っていませんでした。しかし、現地を訪れたり、映画を観たり、日本の同年代の人々と率直に対話したりすることで、その独特な美意識、厳格な職人精神、そして伝統と現代が融合した特別な魅力に魅了されました。この変化は非常に大きく、深いものです。今回の経験で、異なる文化間の交流と相互理解がいかに重要でまた必要であるか身をもって実感しました。それは固定観念を打ち破っただけでなく、新しいインスピレーションや考えも引き出しました。特に映画制作の分野において、中日両国は一衣帯水の隣国として、感情表現や美学の追求において共通点がある一方、それぞれ独自の特色も持っています。将来を見据えると、映画産業に限らず、より広い文化分野においても、両国はより円滑で効率的な交流のルートを構築し維持すべきです。継続的な対話と協力を通じて、私たちは完全に相互利益を実現し、アジアはもとより世界の文化の発展に新たな活力を注ぐことができます。
◆日本の大学生との交流を通じて、中日両国の若者の間で、生活観・価値観・結婚観・就業観などにおける違いを強く認識しました。こうした意見の交流は、私の国際的な視野を大きく広げると同時に、言語によるコミュニケーションの深みを感じさせ、語学学習の重要性を改めて実感させるものとなりました。
◆今回の訪日団で、日本の映画界、文化界、学界と交流し、多くの具体的な新しい発見と深い収穫を得ました。主に以下の方面に焦点を当てました。
一、産業技術:伝統と最先端技術の融合によるイノベーション
TOHOスタジオと角川武蔵野ミュージアムを視察し、日本のコンテンツ産業の最先端技術と伝統的な物語を深く融合させる力を強く実感しました。TOHOスタジオは、成熟した物理的特殊効果や精巧なミニチュアモデルの展示だけでなく、先進的なバーチャルプロダクション(Virtual Production)スタジオも備えており、背景のリアルタイムレンダリングと俳優の演技をシームレスに組み合わせることができ、創作の自由度が大幅に向上しています。角川武蔵野ミュージアムは、没入型デジタルアートの展示を通じて、静的な文学や漫画のIPを体験可能な動的なビジュアル空間に変えています。これは「技術は物語に仕える」という日本の理念を示しています。つまり、技術は単に見せびらかすものではなく、より心に響く感情体験を生み出すためのものです。
二、文化の継承:歴史資源の現代物語における「翻訳」
東京国立博物館や深川江戸資料館を訪れたり、狐のお面作りを体験することで、日本文化が持つ強力な「翻訳」力を実感しました。彼らは単に伝統を復刻するのではなく、歴史や文化財に見られる美学的なシンボル(浮世絵の構図、能の面など)を抽出し、それを巧みに現代の映画、アニメ、ゲームのキャラクターデザインや世界観の構築に取り入れています。歌舞伎座ギャラリーで、私たちは歌舞伎の定型化された演技が日本の俳優の身体表現にどのように影響を与えたかを学びました。このように自分たちの文化のDNAを体系的に整理し、創造的に変換することは、私たちの創作に貴重な手本を提供してくれています。
三、教育体系:産学連携による実践型人材育成日本大学芸術学部の訪問は、この旅の重要な成果でした。その教育体系は非常に実践的です。学生は大学1年生の時から16mmフィルムの撮影に触れ、基本技術を磨きます。学校は業界(例えば東京国際映画祭)と密接に連携しており、多くのインターンシップやプロジェクトベースの学習機会を提供しています。学生との交流の中で、彼らは監督や撮影を学ぶだけでなく、制作や配給などの全産業チェーンについても明確な認識を持っていることを感じました。この教育モデルで育成されるのは、孤立したアーティストではなく、すぐに業界に溶け込める高い適応力を持つ専門人材です。
四、業界生態:国際的な視野とコミュニティ育成の両立東京国際映画祭、TIFFCOMマーケット、アジア学生映画コンファレンスに参加して、私は日本の映画業界の開放性を直接体験することができました。TIFFCOMはアジアの重要なコンテンツ取引市場として、非常に専門的かつ効率的に運営されており、日本が国際協力において架け橋の役割を果たしていることを示しています。そして学生映画コンファレンスでの交流会において、日本側の主催者は特別にリラックスした平等な雰囲気を作り、アジアの若手映画人がつながりを築くことを奨励していました。これにより、健全な映画生態にはトップクラスの国際プラットフォームが必要なだけでなく、新世代コミュニティネットワークの丁寧な育成も欠かせないことを認識しました。
まとめると、この旅の最大の収穫は立体的な認識を築いたことです。日本の映画とコンテンツ産業の強さは、「文化的な素養の深い掘り下げ」「技術的言語の精緻な応用」「教育システムの実務的支援」、そして「産業生態の開かれた協力」という四つが形成する良性のサイクルにあります。これは私の将来の創作と研究に具体的な学習の指針と貴重な国際的視点を提供してくれました。
◆今回のアジア学生映画コンファレンスの入選作品上映会で、日本の学生の映画を観て、多くの新しい発見がありました。クロージングパーティーで、私の好きな日本の映画監督と深く交流する機会があり、彼のインスピレーションが日本のアニメ文化に由来していることを知りました。これにより、自分の創作の歩みを振り返り、より多く考え、私たち自身の優れた伝統文化の宝庫からインスピレーションを得るよう激励されました。例えば中国の哪吒(ナタ)神話は、現代の文脈の中での現代化された変化や創作において、意識的に自身の文化的アイデンティティからインスピレーションを吸収し、創作に還元しています。