新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2019」第二十四回中国教育関係者代表団 フォローアップ オンライン交流

 2020年12月23日、「JENESYS2019」第二十四回中国教育関係者代表団フォローアップオンライン交流を開催した。本交流は、2019年度に実施した対日理解促進交流プログラム「JENESYS2019」のフォローアップの一環として実施し、代表団の団員5名と大阪府教育庁の関係者4名がウェブ会議システムを用いて交流した。

 2019年12月に招聘した第二十四回中国教育関係者代表団では、大阪府の小学校・小中一貫校の視察、教職員との交流、大阪府教育庁での懇談会を実施。さまざまな質問や意見交換を通じ、大阪府の教育の取り組みについて理解を深めた。団員は帰国後、訪日交流で得た知見や気づきを自らの教育現場で積極的に活用しており、今回のオンライン交流は、その取り組みの紹介を中心に展開した。

 中国側が着眼したのは、日本の労働教育、部活動、給食(食育)、奉仕の精神、心のケア等。実践の時期が新型コロナウイルス発生、長引くコロナ禍の状況と重なったことから、コロナ禍の課題解決に訪日の成果を応用した事例も紹介された。中国の教育現場における合言葉は「停課不停学」(授業を止めても、学習を止めない)。オンライン授業の実施にあたっては、授業内容はもとより、管理アプリ、教職員向けマニュアルなども整備。オフラインの授業・活動では、心身の健康維持・成長が重視され、家庭で直接子どもに接する保護者の支援として「オンライン保護者会」の事例も挙げられた。特に注目度の高かった労働教育については、学校での活動にとどまらず、家庭内で料理や清掃に取り組む「在宅労働」の事例も紹介された。

 また、これらに取り組む中で生じた質問も事前に募った。大阪府教育庁は、その回答として、評価における技能とモチベーションの扱い、小中一貫校におけるキャリア教育の特長、労働教育の推進ポイントについて、具体例やプロセスを示しながらアドバイスした。

 大阪府教育庁は、日中共通の喫緊の課題として、大阪府におけるコロナ禍での教育活動についても紹介した。オンラインの活用、家庭との連携、心のケアへの重点的な取り組み、学校園にフォーカスした感染症対策マニュアル作成など、教育面で子どもたちが不利益を受けることのないよう配慮された取り組みは、中国の教師たちの思いとも重なった。

 

 中国側参加者からは、「中日双方の教育関係者が、コロナ禍による教育への影響をできるだけ減らそうと努力しているのが理解できた」「大阪府が教育活動において、教師、学生、保護者という立場の異なる人それぞれに合った感染症対策を行っていることを知った」「今回の交流は去年の活動の振り返りという以上に、一年間の成果の総括の場でもあった。参加者の紹介を聞いて、去年の交流が素晴らしい成果を上げていることが分かった」などの感想が聞かれ、日本側参加者からは「渡航制限の中で、オンラインという形であれ交流できたことは意義深い。コロナ禍の中国の『停課不停学』という取り組みは、大阪府でも学校休業の際に同様の課題に直面していたため、大変参考になった」との感想が聞かれた。中国側が総括で述べた「コロナ禍という危機も“転機”。中日両国の友情を深め、今後も教育の質向上について討論したい」との言葉に代弁されたが、共に手を携えて現状を打開していくこともまた、日中友好の新たな一歩を踏み出すことになるのでは、と気づかされる交流となった。

Zoom画面で参加者全員の記念撮影

Zoom画面で参加者全員の記念撮影