日中青少年交流事業 参加者のその後のストーリー(第14回)
日中青少年交流事業の過去の参加者の方に、それぞれの「その後」のストーリーをうかがう当企画。
今回は、平成24年度東日本高校生訪中代表団に参加し、その後アナウンサーを経て地域おこし協力隊に転身した川上椋輔(かわかみ りょうすけ)さんのインタビューを紹介します。
宮城県古川高等学校に在学中の2012年(高校2年時)、キズナ強化プロジェクト 平成24年度東日本高校生訪中代表団に参加。大学卒業後、北海道のテレビ局でアナウンサーとして活動した後、現在は北海道弟子屈町にて地域おこし協力隊として地域の課題解決に奮闘中。
アナウンサーの夢を実現。その先に新たな目標を見いだし、地域おこし協力隊へ
― 訪日活動の最大の収穫は何でしたか?
川上:中国の学生の皆さん一人一人の、自己実現に向かってまい進する行動力です。語学に堪能であることはもとより、将来のビジョンが確立されていることにも刺激を受けました。
― 訪日中に見聞きしたことはその後の生活、学業、就職、仕事の方向性を決めるのに役立ちましたか?
川上:中国の同世代の皆さんから刺激をもらったことで、ぼんやりと思い描いていた「アナウンサーになりたい」という夢を見つめ直し、行動量と目標設定が明確になりました。そして、夢を実現することができました。
ところが、その1年目、北海道は大きな胆振東部地震に見舞われました。被災地の取材を担当する中、窮状に面しながらも伝達することしかできない立場に苦悩しました。また、北海道の報道取材を通じ、衰退していく地方の現実を目の当たりにし、危機感を抱きました。傍観者ではなく、当事者として地域の将来に関わりたい、その思いから弟子屈町の地域おこし協力隊に転身しました。念願だったアナウンサーの仕事に真摯に取り組んだ先に、新たな目標が拓けたのです。
― 現在計画していることや将来の目標はありますか?
川上:まず、地域おこし協力隊という行政と民間の中間で活動できる特性を活かし、官民の潤滑油になれればと思います。具体的には、北海道における空き家問題、コロナ禍における地方の在り方についての課題解決を通じ、弟子屈町を先駆的モデルに発展させたいです。そして将来的には、固定観念に囚われない首長としての政界進出も視野に入れています。
― 日中青少年へのメッセージをお願いします。
川上:一度きりの人生、一歩踏み出してみた先には、たくさんの“景色”があり、そこから自分の人生が加速することが多々あります。私もこの訪中で大きく変わるきっかけをもらいました。後から考えると、迷っている時間ほど、もったいないものはありません。これからの社会を牽引していく同志としても、ぜひ一歩前に踏み込んでいきましょう。