新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2020」日中大学生オンライン交流

 

 2021年6月11日、「JENESYS2020」日中大学生オンライン交流を実施した。本プログラムは、日本と中国の大学生によるオンライン交流を通して、相互理解の更なる深化、恒常的ネットワーク構築を図ることを目的とし、外務省が推進する「JENESYS2020」の一環として、(公財)日中友好会館が実施した。

 中国大学生は中国日本友好協会を通じて募集を行い、陝西省の西安交通大学、陝西師範大学、西安外事学院、西安外国語大学、湖南省の中南大学、湖南大学、湖南師範大学から計20名が参加した。日本大学生は上智大学、中央大学、法政大学の協力を得て募集を行い、計18名が参加した。

 今回は、初対面の学生同士の英語でのオンライン交流ということを踏まえ、短時間で深い交流ができるよう、企業のチームビルディング研修などに用いられている「ワークスタイルトランプ」を使用して交流した。参加学生は、52項目の働き方に関するキーワードの中から、事前に一人一人自身が重視する5項目を選んでおき、当日は、日中混合の5グループに分かれて「私の理想の働き方」をテーマに英語でディスカッションを行った。各自がどのキーワードを選んだか、その理由と背景を紹介した後、互いにインタビューした。各キーワードは、「安定志向」「大手/堅実志向」「フリーランス/ 手に職志向」「ベンチャー / 起業家志向」の4つに分類されており、グループメンバーが選んだ項目をまとめたマトリックス図を参考にしながら、グループメンバーの傾向や特徴について分析した。話題はジェンダー問題や日中の文化的・教育的背景にまで及び、非常に活発な議論が行われた。

 その後、各グループの代表者がディスカッションの成果を発表した。「日本では自分の夢や得意なことを追求することが求められるが、中国では親や家族の期待に応えることが求められる」「ワークライフバランスから社会の性別役割分担意識について話し合った」「日中どちらの学生も“社会に貢献すること”の項目を選んでいたが、中国の学生は社会環境を変革することで国に貢献することを考え、日本の学生は自分の能力や個性を発揮することで人々に貢献するとイメージしていた」などと報告した。

 最後に東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 阿古智子教授より、「働き方とは、家族や他者とどのような関係を築いていくかということ。多くの学生が多様性の重要性について言及していた。皆さんが社会の中心になれば、良い方向に社会を変えていけるのではないかと期待している」と講評を受けた。

 終了後のアンケートには、「この交流を通して視野を広げ、コミュニケーション能力を鍛え、職業観の確かな基礎を作ることができた(中国大学生)」「日本の学生の考え方の社会的背景や社会問題への視点の違いなどが分かった(中国大学生)」「“理想の働き方”という大学生共通の関心が高い話題で楽しく議論できた(日本大学生)」などの声があった。

 この交流によって両国学生が互いの多様な価値観、人生観を理解し合い、今後の生き方に生かすとともに、日中両国の友好促進に貢献してくれることを期待する。

 

中国大学生の感想  日本大学生の感想

 

参加大学生が選んだ、仕事を選ぶ上で重視する項目

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講師による講評