新時代を担う日中友好の架け橋に

日本青年モンゴル植樹交流団

※写真はクリックすると拡大します

実施概要

実施期間  : 2022年9月26日(月)~9月30日(金) 4泊5日間

派遣人数  : 13名(団長、環境保護分野に携わる大学院生・研究者9名、(公財)日中友好会館等事務局3名)

実施団体  : (公財)日中友好会館

受入協力機関: 在モンゴル日本国大使館

内 容   :「環境保護・砂漠化防止」をテーマに講義や現場視察を行い、現地の研究者・関係者と交流し、モンゴルの環境保護に関する理解を深めた。

 

主な日程

9月27日(火)

AM 自然環境・観光省付属森林研究・開発センター 訪問・交流

PM ホスタイ国立公園 視察

 

9月28日(水)

AM JICAモンゴル事務所 訪問・交流

PM モンゴル科学アカデミー植物研究所 訪問・交流・記念植樹

 

9月29日(木)
モンゴル国立大学 訪問・交流・演習林視察

 

プログラムのハイライト

 本年は日本・モンゴル外交関係樹立50周年であり、「青少年交流推進年」でもあります。これからの50年に向けた両国関係の更なる促進の礎は、国民間の交流・相互理解であることを踏まえ、日本の環境分野の若手研究者等をモンゴルに派遣し、植樹をはじめ、砂漠化防止・植林政策等、環境保護に関する関係者との意見交換・交流、関連視察を通じ、環境分野における日本・モンゴル間の相互理解並びに対日理解の一層の促進を図ることを目的として実施しました。

 

モンゴルの環境保護・砂漠化防止政策全般を理解

 自然環境・観光省付属森林研究・開発センターでは、モンゴルの森林開発政策、フレルスフ大統領のイニシアティブによる「10億本の植樹」計画の概要説明を受けた後、意見交換を行いました。また、JICAモンゴル事務所では、モンゴルにおいて環境分野等で日本がどのような支援を行っているか、担当者から話を聞くことができました。

 

モンゴル科学アカデミー植物研究所にて記念植樹

 モンゴル科学アカデミー植物研究所では、研究所の職員と協力し、植物園内に火災耐性を持つシベリアカラマツを1人1本植えました。また、研究所職員の案内で、団員は熱心に質問をしながら園内を視察しました。

 

モンゴル国立大学演習林視察し、現場を感しながら研究者と交流

 永久凍土のある北方林の南限にあり、森林伐採や火災の増加により森林面積が減少している地域にあるモンゴル国立大学の演習林を訪問し、大学側研究者よりモンゴルの森林研究の現状と課題等の説明を受けた後、演習林内の山火事跡地を視察しました。また、「10億本の植樹」計画の植樹方法についても具体的な解説を聞くことができました。

 この他、ホスタイ国立公園を訪れ、国立公園で実践されているモンゴル特有の動植物の保護の取り組みについて視察し、その手法を学ぶとともに、国立公園、演習林に向かう途中、大草原を通る等自然と触れ合うこともできました。

 

参加者の感想

◆どこに行っても家畜がいることはモンゴルの特徴として強く印象に残った。草原植生が放牧による被食圧によって変化していることを間近に観察できたことは、今後日本の草原で研究する中で不可逆変化をもたらすストレスがどの程度なのか考えるうえで参考になると思う。

 冬の極寒期に各家庭で熱を作るためにストーブを稼働させるせいで大気汚染が深刻、という話もまた印象に残った。日本では電力不足が叫ばれる時期になるべく同じ部屋に集まって過ごすよう電力会社や政府・自治体から要請が来るが、モンゴルではそもそも電気が通じていなかったり家ではなくゲルに住んでいるために部屋の概念がなかったりする点が違うのだろうが、日本と比べ発展途上であるがゆえに環境への配慮(合理的な生活)ができていないのだと思われた。日本から技術協力を行う際はモンゴルでの生活様式を考慮したうえでなければ日本の様式をそのまま持ってくることはできず困難となるだろう、また、これはモンゴルに限らない話なのだろう、ということを学んだ。

 

◆まず、海外の森林を対象とした事業・研究を行う際には実際にその地域に赴き五感で森林を体験することが必要不可欠であると感じた。常にある程度の湿気がある自身の大学の演習林と大きく異なることがわかり、モンゴルのような年中大気が乾燥しているといった状況が植物・樹木にとってどれほど厳しい環境であるのかを本体験で実感することができ、一度砂漠化してしまった地域を緑化することの難しさが想像できた。また、「発展途上国」と呼ばれる地域に初めて訪れて、物流が大きく発達した現代においてもインフラさえ整備されていないゲル地域に住む人々の状況を教えられ、実際にゲル地域の住居の様子を目の当たりにして、貧困というものを実感できた。

 

◆印象に残ったこととして、モンゴルは北部が山岳地帯であり、南部が草原やゴビ砂漠などが広がる平地でもある。近年、地球温暖化によりモンゴルの平均気温は 2℃ぐらい上昇しているようです。それに伴い、北部の永久凍土も年々減少している様子です。永久凍土が溶けるとその地域の森林が全て消失します。今後、このツンドラ地帯をどのように維持していくかということは、モンゴルの方々だけではなく全人類の課題だと思われます。

 

◆地元の人と共にいないとたどり着けないような国立公園、植物園に行けたことが非常に良かった。経路に牧畜や放牧の痕跡が多くみられたこともモンゴルの文化を強く感じられてよかった。

 

◆今回、10 億本植樹を提案した政府機関だけでなく大学・研究機関、JICAなどの国際機関等様々な方面からの「10 億本植樹」に関する意見や試みについてお話を伺うことができた点がとてもよかったと考えております。