新時代を担う日中友好の架け橋に

「JENESYS2023」日本大学生訪中団

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実施概要

派遣期間 : 2023年11月26日(日)~12月2日(土)6泊7日

派遣人数 : 合計49名(団長、団員44名、(公財)日中友好会館事務局4名)

実施団体 : 公益財団法人 日中友好会館

受入機関 : 中国日本友好協会

交流テーマ: 中国とのふれあい

内 容  :

  ・大学訪問・同世代交流

  ・中国の経済・社会・文化・歴史等に関する視察・参観

  ・中国に対する包括的理解促進につながるプログラム等

 

主な日程

11月26日(日)

 PM 訪中

 

11月27日(月)

 AM 世界遺産万里の長城(居庸関)参観

 PM 中国人民大学訪問・交流

     歓迎会

 

11月28日(火)

 AM 山東省へ移動

 PM 山東大学訪問・交流

 

11月29日(水)

 AM 超然楼参観

          山東手造展示体験センター視察

 PM 済南市高新区ソフトウェア産業園人工知能イノベーションセンター視察

 

11月30日(木)

 AM 世界遺産孔子府、孔子廟参観

 PM 曲阜師範大学訪問・交流

 

12月1日(金)

 AM 上海へ移動

 PM 豫園参観

       歓送会

     外灘(バンド)遊覧船参観

 

12月2日(土)

 AM 上海城市規劃展示館参観

 PM 帰国

 

プログラムのハイライト

本事業は、中国日本友好協会の招聘に応じて大学生・大学院生を中国に派遣し、「中国とのふれあい」をテーマに、大学訪問やテーマに関する視察・交流等を通じて同世代交流を行うことで、両国の若者の間に友情を醸成し、相互理解の更なる深化を目的として実施しました。

 

中国の3大学を訪問して同世代と交流

中国人民大学では、日中の学生が5グループに分かれ、「大学生活」「食文化」など異なるテーマについて話し合って代表者が成果を発表し、日中の相違点・相似点を認識し相互理解を深めました。山東大学では「民俗から見る中日文化交流」についての模擬授業を受け、団員からは多くの質問が挙がり、日中が互いに影響を与え合い、それぞれの文化を発展させてきたことを再認識しました。また、学生食堂にて夕食交流会を開催し、自由に意見交換して交流を深め、最後に日本大学生が中国大学生にを指導して全員で踊り、盛り上りました。曲阜師範大学では、礼拝の儀、古典楽器演奏、中国舞踊、投壺、切り絵、太極拳、茶芸、木版画、漢服試着などの体験を通して学生交流を行いました。特に漢服試着はSNS用に写真を撮るなど好評でした。

 

参加者の感想

4都市を巡る旅で、中国の歴史と文化、そしてその現代的な発展に触れた。

北京では、壮大な万里の長城の姿を目の当たりにし、中国の古代からの歴史と技術力を感じた。万里の長城は中国の象徴的存在であり、その歴史的価値は世界遺産として広く認められている。あの壮大で巨大な長城を築かなければ抑えられなかった、かつての北方異民族の精強さに実体感を伴って驚愕をした。また、中国人民大学博物館では中国のユニークな歴史に触れ、その多様性と深さに感銘を受けた。特に博物館内の配色のデザインや習近平主席の扱いに日本とは異なる社会主義的なマインドを五感を通して感じることができた。

済南では、山東大学で模擬授業を体験し、泰山石敢當のエピソードから日本と中国の長い交流の歴史について学んだ。泰山石敢當は、古代からの重要な文化的シンボルであり、両国の歴史的絆を象徴している。テクノロジーの恩恵を一切受けられなかった1000年以上前の昔から定期的な交流があったことから、両国が互いを大変重要な相手だと位置づけ、生命をも危険にさらしても交流する価値がある相手だと見做していた事が伺えた。そうした両国の先人の精神が今の日中関係に繋がっていることに感銘を感じた。

私の中国訪問中、特に印象深かったのは曲阜の訪問だった。ここでのハイライトはHuaweiの展示施設での体験。半導体エンジニアを目指す私にとって、中国がいかに高度なテクノロジーを発展させているかを目の当たりにする貴重な機会だった。展示施設では、中国の最新のナノテクノロジー技術をはじめ、通信技術についても多くが展示されており、その先進性と革新的なアプローチに深く感銘を受けた。特にビッグデータの取り扱いの点に関して、中国は世界に対して優位性を持っており、それを活かしたHCTのテクノロジーなどが目立っていた。独自路線を行く中国がこの先世界を牽引しうるのかを含めて、世界のテクノロジーの潮流により一層興味を持つきっかけとなった。

上海の訪問では、その急速な発展とダイナミズムに驚いた。わずか数十年で農村から現代の巨大都市に変わった上海は、中国の経済成長と都市化の代表例であり、その変貌は驚異的だ。特に外灘の遊覧船から見た夜景は、私がこれまで見たどの夜景よりも綺羅びやかで、この国の人々が持つ情熱を象徴していると最後に感じることができた。

この旅を通して、日本ではなかなか伝えられない中国のポジティブな側面に触れ、日中関係のさらなる発展に貢献することの重要性を実感した。歴史を学び、文化を体験し、中国という国の多面性を理解することで、両国の共通点を認識し、差異を尊重することが、より良い未来への架け橋となると確信している。

 

◆中国での7日間は夢のような時間でした。一日一日が濃密で3ヶ月くらい滞在していた感じがしますが、本当にあっという間でした。この7日間で言葉では言い表せないくらいの感動を何度も味わいました。中国の歴史や文化に触れ、志高い現地の学生とたくさん交流し、実際の中国というものを自身で体感できて嬉しかったです。みなさんが何度もおっしゃっていましたが、本当に「百聞は一見にしかず」の言葉に尽きます。正直中国に実際に行くまでは、中国に対してそこまで良いイメージを抱いていませんでした。中国に行ったことも中国人の友人がいるわけでもないのに、メディアの情報を鵜呑みにして勝手な中国像を自分の中に作っていました。けれども今は違います。もちろん文化の違いも感じましたし、それゆえ慣れないことも多かったです。でも私が実際に見た中国は、長い歴史を大切にしつつ、よりよい未来に向かって工夫を繰り返して進化していく、エネルギッシュな国でした。また、現地の方々も温かく迎えてくださりとても安心しました。店員の方々やホテルのスタッフの方々、タクシーの運転手の方々と話す機会が何度もありましたが、そのたびに優しく親切に接してくださいました。日本から来たと伝えると、温かい笑顔で「欢迎!你好!」と言ってくださったのがすごく印象的で嬉しかったです。現地の学生も本当に素晴らしい方々で友人になれたことを光栄に思います。現地の学生の方々の学ぶことに対する意欲や厳しい入学選考を通ってきた誇り、勉学への責任というものを感じ、刺激を受け私ももっと勉強を頑張りたいと思いました。いつか必ず、彼らにまた会いたいです。

これらの交流を通して感じたことは、笑顔で相手に誠実に向き合うことの大切さです。日本人だから、中国人だから、といった区別ではなく、誰と接するときでも相手のことを思いやり、思いを伝えようとすれば国籍など多少の違いはあっても心は繋がるのだと思いました。相手をよく知るには対話が一番大切だと思います。第三者からの情報で先入観を持つのではなく、自分が実際に見たり感じたりしたことを一番強く信じるべきだと思いました。

そして私にとって訪中団のメンバーと出会えたことが何よりも幸せなことです。対面で会ったこともなく、年上の方ばかりで1週間も過ごせるか不安でたまらなかったのですが、そのような思いはすぐに消えました。本当に優しくて素晴らしい方ばかりだったからです。夢や目標に向かって努力を重ね、様々なことに積極的に取り組み、そして周りの方々へのリスペクトも大切にされる、そんな素敵な方々に出会えたことに感謝しています。これからも大切にしていきたいです。そして私もこれからいろいろなことに挑戦して学んで、みなさんのように積極的で希望に溢れた人になりたいです。学び続けることの楽しさを教えてくださったメンバーの皆さん、本当にありがとうございます。

訪中団で、こんなにも多くのことを学べたことは私の人生のかけがえのない宝物です。素晴らしい経験をありがとうございました。これからもっといろいろな世界を自分の目で確かめてみたいです。

 

◆私が一週間の中国滞在を通して感じたのは、日中の体制の違いです。

初日、北京に到着した際に早速それを感じました。街中に警察車両が配置され、警ら灯を光らせていたからです。今まで民主資本主義国家にしか渡航したことのなかった私は、この時漠然とした恐怖や不安を感じましたが、この認識は滞在を通じて後に変わることになります。

最も印象的であったのは、山東大学での夕食交流会です。隣席したのは山東大学経済学部の学生でしたが、彼は私が着席するや否や「資本主義と共産主義はどちらが優れていると考えるか?」との問いを投げかけてきました。この議論は、私も中国滞在中に誰かに聞いてみたいことだったので、彼の質問を聞いた瞬間私も興奮しました。夕食会の間中ずっと、私たちはこのテーマについて話し込んでいましたが、話しながら私は、日中両国の体制、特に教育の違いを感じました。私は経済学部生ではありませんが、今まで受けてきた教育の中で「民主主義、資本主義経済は、社会の一員に等しく豊かになる機会を与える」と教えられてきました。だからこそ民主主義や資本主義は専制的な国家体制にかわり、現代の多くの国で採用されているのだ、と。さらに社会主義や共産主義は、歴史を見れば明らかなように、一国家を持続的に支えられない、とも教えられてきました。しかし彼は「資本主義は資本家の搾取から始まる。資本主義経済における私立学校の教育は、社会の格差を縮めるどころか拡大させる、悪の根源である」と述べました。私立大学に通う私は、これに対して論理的で、説得力のある反論をすることができませんでした。確かに日本には様々な社会保障制度があり、高等教育に関していえば官民問わず奨学金制度も多く用意されています。さらに日本経済が獲得した富を、日本政府は様々な形で国際社会に還元・再分配しています。日本の国連安保理常任理事国入りが議論される所以はここにあると思います。しかしこれは、彼を説得するのに十分な材料ではありませんでした。

一方で、彼も私を説得することはできませんでした。彼は「真の共産主義は経済力のある国家でしか成立しえない。だからこそ中国は社会主義市場経済という独自の体制を導入し、経済成長を目指しているのだ。」と語りました。私はこの話を聞いても、中国国内に経済格差がないとも、それがゆくゆく解消されるだろうとも思えませんでした。

私たちがお互いを説得できなかったのは、初めから相手の話を聞こうとしていなかったからではないかと思います。私たちはこれまで20年前後受けてきた教育の中で「洗脳」されていたのだと思います。だからこそ相手の話をはじめから否定的にとらえ、自分の話を押し付けようとしていました。それでは、建設的な議論など到底できるはずがありません。済南での夜を反省した私は、その後の日程ではもっと意識的に中国側参加者の話に耳を傾けるようにしました。そして迎えた出国の時、中日友好協会の方が私に中国の印象を尋ねました。「中国の方の温かみを感じたが、街中に警察車両が多かったところなど、中国に対する漠然とした恐怖をぬぐうことはできなかった」と私は素直に答えました。すると彼は「日本では何か起きたときに警察車両が来る。だからあなたは不安を感じるのです。でも中国では、警察車両がいるからこそ何も起こらない。中国では警察は安全の象徴なのです。」と話してくれました。これほどに、私が西側の体制で育った人間であることを自覚した瞬間はありません。

私と多くの中国人の間には、大きな違いがあることを実感しました。同時に、この隣人について無知なままでは「戦略的互恵関係」などほど遠いと強く感じました。今回の訪中を機に、自分が西側、つまり日本社会の一員であること、そして将来にわたって中華人民共和国という隣人と平和的な関係を望むには、もっとこの国について知らなければならない、と決意を新たにした次第です。