新時代を担う日中友好の架け橋に

「日中植林・植樹国際連帯事業」 2023年度中国生態環境保全・低炭素発展業務青年代表団

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実施概要

招聘期間: 2024年1月28日(日)~2月3日(土) 6泊7日間

招聘人数: 30名(団長1名、事務局2名、団員27名)

団員構成: 中国生態環境部及び日中友好環境保全センターに所属する青年

実施団体: (公財)日中友好会館

派遣団体: 日中友好環境保全センター

派遣協力: 在中国日本国大使館

実施協力: 環境省、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)

内  容:

 ・環境省との気候変動政策交流会

 ・脱炭素先行取組事例・地域の視察

 ・環境関連団体・施設の視察・交流

 ・防災に関する視察

 ・日本に対する包括的理解促進につながるプログラム等

主な日程

1月28日(日)

  PM 来日

1月29日(月)

  AM 環境省との気候変動政策交流会

  PM 川崎市環境総合研究所視察

        歓迎会

1月30日(火)

  AM 岩手県へ移動

  PM 久慈市役所訪問

        久慈バイオマスエネルギー株式会社(KBEC)視察

        宮古市日中友好協会との交流会

1月31日(水)

  AM 宮古市視察(脱炭素先行取組地域、防災対策地域)

         宮古市役所訪問

  PM  宮城県へ移動

2月1日(木)

  AM 東松島市役所訪問

         東松島市視察(脱炭素先行取組地域、震災被害復興地域)

  PM 環境省東北地方環境事務所訪問(講義・意見交換)

         東京都へ移動

2月2日(金)

  AM 地球環境戦略研究機関(IGES)葉山本部訪問

         報告会

  PM 横浜市資源循環局鶴見工場(資源循環型ごみ処理施設)視察

         横浜みなとみらい地区視察

2月3日(土)

  AM 都内視察

  PM 都内視察後、帰国

 

プログラムのハイライト

本事業は、中国生態環境部及びその直属機関である日中友好環境保全センターに所属する若手職員を訪日招聘し、「日本の環境保全政策と脱炭素先行取組」をテーマに、日中両国の国内対策における先進的な政策や計画、取組事例を学び相互に交流することを通して、地球規模の課題である気候変動問題への対処のために、カーボンニュートラルへの取組を加速させることを目的として実施しました。

 

日中両国の環境保全政策について意見交換

環境省担当者より、「日本の気候変動対策」「日本における地域脱炭素の取組」をテーマとした講義を受けました。その後、中国生態環境部担当者より、「ダブルカーボン目標における中国の気候変動政策と取組」について説明があり、日中双方向での質疑応答・意見交換を行いました。

 

東北地方の脱炭素先行地域にて各自治体の取組と現状を理解

環境省東北地方環境事務所では、地域経済の活性化・災害時の安全確保や住民の快適な生活など、地方創生の観点から脱炭素先行地域の取組を中心に理解を深めました。

岩手県久慈市では、脱炭素先行地域の取組についての講義を受けた後、久慈バイオマスエネルギー株式会社を訪問し、木質バイオマスを用いた燃料供給について学びました。岩手県宮古市では、東日本大震災の被害を受けた田老地区を視察後、宮古市担当者より復興計画における再生可能エネルギーの取組を中心とした講義を受けました。宮城県東松島市では、災害対策・住宅整備・再生可能エネルギー普及を含む復興まちづくり計画の講義を受けた後、スマート防災エコタウンや野蒜地区を視察し、復興地域における取組について理解を深めました。

 

首都圏環境関連団体・施設を視察し、関係者と意見交換

地球環境戦略研究機関(IGES)葉山本部を訪問し、日中の違いを熟知した研究者たちより、気候変動・エネルギー領域における研究活動の概要や、日本のカーボンニュートラル戦略の最新動向などの説明を受けました。葉山町と共同で実施しているフィールド研究現場の視察では、環境問題への具体的な解決策について学びました。

川崎市環境総合研究所では、公害克服の歴史と取組について説明を受けた後、屋上のオゾン監視施設などを視察し、大気汚染物質のデータや情報を正しく公開することで、周辺企業の環境意識の啓発に効果的であることを理解しました。横浜市資源循環局鶴見工場では、焼却フローを中心に見学し、日本のごみ収集・分別の政策と技術、および再生可能エネルギー転換の現場を視察しました。

参加者の感想

◆この活動を通して、日中両国の青少年の交流、相互理解、相互信頼を一層深めることができました。同時に、官公庁、地方自治体、企業などへの訪問を通して、共通点や相違点を学びました。日中の国情と経済社会の発展の違いを十分に理解し、今後の実用的および相互利益となる協力を実現する方法について深く考えました。

 

◆7日間の活動では、日本の低炭素先行地域の建設や地震防災・減災などの先進的な取組を十分に理解しただけでなく、日本の民俗風習を学び、日本の生活文化を体験し、日本の印象を大きく向上させることができました。今回の日本訪問は、今後の仕事や生活の参考になりました。帰国後は、積極的に自分の感想を周囲に伝え、日本の研究機関や関係者との交流を強化し、気候変動という共通の目標に貢献していきたいと思います。

 

◆日本と中国では、国情や発展レベルが異なるため、生態・環境保護、防災、炭素削減などの政策や実施、中央政府と地方政府の関係性・分業・役割・責任にも違いがあります。しかし、両国は生態環境保護、気候変動対応、防災・救援に関する同じ理念を共有し、地球環境と人類を共に守るという責任感と目標を共有しています。今回の視察交流は日中環境交流と日中関係の継続の下に実施され、環境と技術面におけるコミュニケーションを強化するだけでなく、感情面や文化面での交流も促進されました。特に日本の震災後の復興の成果と精神は尊敬と学習に値すると思います。また、気候変動、再生可能エネルギー代替、炭素排出権取引等への対応に関する経験や実践について十分に意見交換することで、今後の協力、交流、学習の基盤を築きました。将来的には、オンラインを活用してさらなる交流や学習・問題伝達・問題解決を図り、日本側の視察・交流のための訪中を歓迎します。

 

◆今回の訪日で得たものは多く、第一に、あらゆる分野においてきめ細やかで真摯な仕事をしていること、第二に、ビジネス面での脱炭素先行地域の建設が本格化し、その効果が明らかなことです。同時に、両国は少子高齢化という同じ問題に直面しています。今後の仕事や生活において、日本側との交流を深め、環境問題や社会問題を共に解決していきたいと考えています。

 

◆初訪日でしたが、すでに様々なメディアから日本について多くのことを学んでいました。しかし自分の目で見聞きした印象は、はるかに充実していてリアルでした。東北の地方都市での防災や二酸化炭素排出量の削減の取組だけでなく、東京や横浜などの大都市圏の人々の生活も見ることができました。日本人が礼儀正しいという印象は昔から持っていましたが、そこに真面目さという評価が加わりました。ドライバー、通訳、環境省から地方機関のスタッフ、ホテル、「道の駅」のサービススタッフまで、私たちの活動を円滑に進めてくれた日本人スタッフにとても感銘を受けました。このために尽力してくださった皆様に感謝申し上げるとともに、日中両国の友情が永遠に続くことを願っています。山川異域 風月同天。

 

◆日本は防災教育や防災・減災施設の建設経験が豊富で、人々の防災に対する意識が高いことが分かりました。地球規模の気候変動を背景に異常気象が頻発する中、中国は日本の防災教育や気候変動に適応したインフラ機能の活用から学ぶことができます。また日本は超高齢化社会であり、中国も高齢化問題がますます顕著化しているため、日本の高齢化対策から対応を学ぶことができると思います。

 

◆今回の視察や環境防災分野の交流活動を通じて、日本側は、環境保全、防災・減災、ゴミの分別・処分、脱炭素・省エネなどの面で、真面目できめ細やかな取組をしているだけではなく、広報、教育、市民参加の面において多くの取組が成果を上げており、中国が学ぶ価値があると感じました。日本側が取り組んできたことは、自然災害による日本国民の犠牲を最小限にとどめ、未来の持続可能な発展と地球環境ガバナンスにも貢献していると思います。今後は自分の感想を周りの人に正直に伝え、日本側の先進的な考えや経験を関係部署に紹介し、環境分野における日中協力を積極的に推進します。