今どき北京はこう歩く
第12回

 スタートは、「羊のロボット農場」である。羊が動き回り、めーめーと鳴き声を上げていて、ロボット羊は、尻尾までリアルに動くので驚いてしまう。

撮影:青樹明子

 2階で遭遇するのは「ペンギン群団」だ。450羽のロボットペンギンが、 通行人が近づくと、 一斉にくるりと回転して同じ方向を向く。白いお腹と黒い背中がシンクロして反転するというおまけつきだ。

撮影:青樹明子

 3階へ進むと、 宇宙船が目の前に現れる。ついに火星移住が成功するという段取りだ。火星到達前には、何故かチェスをする ゴリラのロボットもいて、まさに “ロボット尽くし” の珍しい空間だった。

撮影:青樹明子

何が書かれているかというと…、

「残業はイヤ」
「早く定年が来ないかなぁ」
「仕事に行きたくない」
「寝そべっていたい」

…等々だった。

とんでもない競争になっている大学入試、続く就職難、苛酷な仕事環境、結婚難…。

彼らの屈託は、挙げればきりがないほどだ。

撮影:青樹明子

 そして最近では「全職児女」が流行し始めた。日本のメディアでは「専業子供」と訳している。主婦業に専念する専業主婦のように、子供業に専念するという意味である。ニート(齧老)と違うのは、両親の世話や家事などを仕事のようにこなし、両親から「給料」をもらうのである。

 しかし、外から中国を見ると、無視できない大きな魅力がある。それはスーパーに行けばよくわかる。

私はスーパーマーケットが大好きだ。北京でいうと、以前は外資系のスーパーでないと、 なかなか良い品にめぐり合えなかったが、 今は違う。中国資本でも、おしゃれで明るく、綺麗なスーパーが揃ってきた。

豊富な品揃えはもちろん、食品価格は国によって統制されているので、高くなったといっても、物価高感は日本ほどではない。

撮影:青樹明子

 滞在期間中、 毎日行っていたスーパーでは、 朝食用の種類豊富なパンが1個6元(約140円)くらいから購入できた。果物も安く、スイカもライチも、マンゴーもふんだんに並んでいて、手ごろな値段で売られている。しかも安い。

 (買わなかったが)魚介類、特に貝類の多さには目を見張る。しかも安い。

撮影:青樹明子

 そして、庶民の強い味方となっているのが、晩御飯の材料セットである。

 「家常菜」と呼ばれる家庭料理、日本でも知られているものでいえば「青椒肉絲」や「回鍋肉」などといった料理の材料がワンパックになって並んでいる。肉も野菜も、あらかじめカットされているので、そのままフライパンで炒めれば出来上がりだ。

価格は1セット15~25元(約360~600円)程度なので、やはり安い。

 中国ではほとんどの家庭が共働きということもあり、晩御飯は簡単に作れることが最優先である。

撮影:青樹明子

 ランチも行く価値がある。種類は豊富、ボリューム満点だから、残業したとしても空腹に苦しむことはない。しかも安い。オフィス街では定食が1,000円以下で提供されているところも多くある。

 私が(滞在期間中)頻繁に通った店では、 「干炒牛河(牛肉入り平打ち焼き米粉)」 とスイカジュースで、 69元(約1,700円)だった。

 もちろん、とんでもなく高価なレストランもたくさんあるけれど、安くて美味しいものも多くあるのが、 今の北京である。外国人の私は “高考(大学入試)” に参加しなくてもいいので、 わざわざ火星に行かなくても充分楽しい。

撮影:青樹明子

 スーパー地下にはフードコートもあって、そこで人気の餃子店について、折を見てぜひご紹介させてください。

(続く)

青樹 明子

愛知県生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学第一文学部卒、同大学院アジア太平洋研究科修了。
1995年より2年間北京師範大学、北京語言文化大学へ留学し、98年より北京や広州のラジオ局にて、日本語番組の制作プロデューサーやMCを務める。2014年に帰国。著書に『中国人の頭の中』『中国人が上司になる日』『日中ビジネス摩擦』『「小皇帝」世代の中国』『家計簿からみる中国 今ほんとうの姿』等。

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